ウィーンの南約75km
データ
*区間:グログニッツ Gloggnitz 〜ミュルツツーシュラーク Murzzuschlag
*距離:42km(直線距離:21km)
*トンネル:16
(著名なトンネル)
センメリング・トンネル(延長1.5km、標高898m)
*高架橋:16
(二段構造橋)
クラウゼルクラウゼ橋
カルテリンネ橋
*最大標高差:459m
-軌道:国際標準軌


沿革
*19世紀当時のオーストリア帝国のウィーンから海上に出るためには、南下してトリエステ(現在のイタリア領)へ向かう鉄道が必要であったが、地勢の険しさや高低差の大きい標高995mのセンメリング峠を越えることができなかった。
*1848〜1854年にかけて、エンジニアのカール・リッター・フォン・ゲーガ(1802〜1860年)の指揮のもとに建設された。
*切り立った岩壁をくり抜き、深い峡谷に橋をかけて、勾配がきつい山腹をゆっくり蛇行しながら高度を上げ、標高差が459mを克服していった。
併せて機関車にも構造に改良を加え、急勾配やカーブを克服した。
*土木機械もダイナマイトもなかった時代の土木工事にもかかわらず、わずか6年という短い期間で貫通するにいたった。
*設計者カール・フォン・ゲーガ(Carl von Ghega)は、これらの土木工事の構造体の資材に鉄鋼を使用しないで、レンガと板石を用いたのだった。
開通から150年が経過している現在でも、電化という変化はあれどほとんど当時のまま現役で多数の国際列車や貨物列車が通過する。
*自然との調和を維持しながら行われた土木工事が評価され、世界で初の山岳鉄道でユネスコ世界遺産に認定された。

アクセス
鉄道
センメリング鉄道区間はウイーン南駅Wien Sudbahnhofから南のグラーツGrazまたはヴィルラッハVillach行きで直通で通り抜けられる。特急OECで2時間足らずでセンメリング鉄道区間を通過する。
カーブが続き、トンネルや橋が頻繁に出てくる。

センメリング鉄道始発駅パイヤーバッハ Payerbach R.で下車するためには、普通(鈍行)でミュルツツーシュラーク Murzzuschlag行きを利用する。
両駅とも市内に宿泊施設もある。

撮影ポイント
それぞれの駅とも少し歩くと高架橋に出合う。
天候の変化が大きいところなので、なかなかいいシャッターチャンスに出会ないところだ。
夏が比較的恵まれているが、日中は霞がかかることが多い。
ヨーロッパには鉄道マニア(鉄ちゃん)が多く、夏期は撮影ポイントへ行くと必ず列車の通過を待つ人たちがいるので、情報交換するといい。
ウイーンからレンタカーなどで行くのがいいが、時間も費用もかけられない向きには、ウイーン南駅から普通列車の途中下車がお薦めだ。日中ほぼ1時間ごと。
グラーツGraz方面から来る場合にはミュルツツーシュラーク Murzzuschlag駅で普通(鈍行)に乗り換えなく絵はいけない。
グログニッツ Gloggnitz 〜ミュルツツーシュラーク Murzzuschlagの間に途中駅が10ある。

パイヤーバッハ Payerbach
町の中をセンメリング鉄道が横断する町。
本線の高い橋脚もある。
SLなどの展示がある。狭軌の鉄道もある。

ヴォルフスベルクケーゲルWolfsbergkogel 駅下車
駅から徒歩10分圏内に展望台が2か所ある。それぞれ異なる方向の撮影ができる。
望遠が必要。

センメリングSemmering
駅前に記念碑がある。