概要
-スイス第2の人口を持つ都市で、スイス、フランス、ドイツの3国が接する、ライン河畔の国境の町で、国際見本市や国際会議なども多く開催される。
-町外れが西はフランス、北はドイツになるため、フランス・バーゼルと同じ建物内では駅構内が国境になっている。ドイツ・バーゼル駅はライン川の対岸地区になる。
EUのシャンゲン協定にスイスも加盟してからは国境の手続きはなくなっている。
-ヨーロッパの内陸地方への大動脈であるライン河の大型船舶による水運はこの町から始まる。
-ヨーロッパの水運の起点という地の利を得た大商業都市で、港湾だけにとどまらず、金融、保険、化学、医薬品工業、精密機械工業などによって大きな繁栄をしている。
-中世の時代から学芸や文化の中心地としても発展してきた。
市民lこよつて建てられたヨーロッパ初の美術館をはじめ、漫画博物館、紙の博物館など個性的なミュージアムがそろっている。
-旧市街には、ヘルツォーク&ムーロン(世界のプラダの店の設計も担当)やマリオ・ボッタなどの世界的に著名な建築家の近代建築が多いのも特徴のひとつ。
-夏期には、港、ライン川、ケンブス運河をめぐる遊覧船が運行される。

データ
-人口約200,000
-標高273m
-言語:ドイツ語


アクセス
空港
バーゼル・ミュールーズ空港 Basel Mulhouse Airport
正式名はユーロエアポート EuroAirport Basel-Mulhouse-Freiburg
スイス・バーゼルから北西約3kmのフランス領のミュールーズにある国際空港
スイスのバーゼルとは高速道路で接続している。
一つの空港で空港コードが3つある。
--国際線はユーロ・エアポート(EAP)
--スイス国内線はバーゼル(BSL)
--フランス国内線はミュールーズ(MLH)
(市内へのアクセス)
空港とバーゼルSBB中央駅駅前との直通路線バスがある。
50番の直通が便利だ。
所要時間は約15分、15分ごとに発着している。

鉄道
3つのバーゼル駅がある。
スイス・バーゼルBasel SBBとフランス・バーゼルは駅がつながっている。
ドイツ・バーゼル駅 Basel Badischer Bhf.はライン川の対岸、北側にある。
時刻表ではBasel Bad.Bfと表示してある。
スイスとドイツを結ぶ国際列車は(スイス国内)〜バーゼルSBB〜バーゼルBad.Bf〜(ドイツ国内)となる。
チューリッヒ中央駅からバーゼルSBBまでは特急・急行いずれでも約1時間、空港駅からは5〜6分余計にかかる。

旧市街
観光ポイントの多くが旧市街に集中している。
-中心となるのはマルクト広場 Marktplatzで古い家が並ぶ。
広場では毎日、花と野菜の朝市が立つ。
-マルクト広場の端からマルクトガッセMarktgasseに入ると、フィッシュマルクト広場(魚市広場)に出る。にぎやかな広場にはフィッシュマルクト噴水Fischmarktbrunneがある。聖母マリアと二人の聖人を上にのせたゴチック様式の円柱が、噴水の中に立っている。
1390年のヤーコブ・ザールバッハの作と伝えられるオリジナルは、歴史博物館に展示されている。
-フィッシュマルクト広場から南へ続くシュタットハウスガッセ Stadthausgasseは、シュナイターガッセ Schneidergasse、シュパーレンベルク Spalenbergと名を変えながら続く古い通り。
シュパーレンベルク通りは狭い坂道で骨董屋や工芸細工店が軒を並べる。
-ゲムスペルク通り Gemsbergの路地をたどると明るくカラフルなファサードを持つ13、14世紀の家が並ぶ広場に出る。花に彩られた小鹿の噴水が広場にある。
-シュパーレンフォルシュタット通りSpalenvorstadtの左手には、ホルパインの噴水 Holbeinbrunnenがある。16世紀の噴水で、デューラーの版画から想を得たバグパイプ吹きと、ホルパインのデッサンによる農民たちの踊りを表している。
-旧市街地を一望するにはライン川沿いの遊歩道オーバラー・ラインヴェーク Obere Rheinwegがおすすめ。東端のヴェットシュタイン橋 Wettsteinbruckeからの旧市街の大聖堂や教会のいくつもの塔、河岸の古い館や小さな職人の家々などが眺望できる。

市立美術館 Kunstmuseum
この町最大の見学ポイントで、ここだけのためにバーゼルを訪れる旅行者も少なくない。
1460年設立のスイス最古の大学であるバーゼル大学のために買いあげられたバジリウス・アマーバッハの個人コレクションに始まる。
アマーバッハの父親は、エラスムスやホルパインの友人だった。
コレクションは、コンラート・ヴイツツ、ニクラウス・マヌエル・ドイツチュ、ハンス・ホルパインなど、15、16世紀のスイスならびにドイツの画家の数多くの作品に加えて、印象派から現在にいたる近代絵画まで約3000点を所蔵する。
-玄関の中庭に、ロダン(カレーの市民)やハンス・アルプ、コルデン、エドゥアルド・シリータ、ベルンハルト・ルギンビュールなどの彫刻。
-2階ホールにシャガール、ルオー、ピカソ、レジェ、ミロの絵画とデッサン。

2階
-第1〜15室は、14−16世紀の巨匠の作品。
バーゼルの画家コンラート・ヴイツツ(14DO頃−45)の、一連の祭壇板絵「聖なる救済の鏡」。
アルザスの画家マルティン・ショーンガウアーの「室内のマリアと子供」など。
ニクラウス・マヌエル・ドイツチュ(1484頃−1530ベルンの出身)の「パリスの審判」や「ピラムスPyrameとティスベThisbe」。
クリューネヴァルト(1528年死去ストラスプール出身)の「キリストの礫刑」
ハンス・パルドゥンク・クリエンは「乙女の死」「婦人の死」。
ハンス・ホルパイン(父)とその二人の息子、兄アンプロジウスと弟ハンス。アンプロジウスの、少年を描いた2枚の肖像画「墓の中のキリスト」。ハンス・ホルパイン(子)は、ルネッサンスを代表する画家の一人。
-第16〜21室は、17世紀オランダ絵画。
若いレンブラントの「サウル王の前のダヴイデ」。 
-第22〜26室には、18、19世紀の絵画。
イアサント・リコーの数点の肖像画。
ドイツとスイスのこの時期のペックリーンとホルダーなどの作品。
-第27−28室は、ロマン主義(ドラクロワ、ジェリコー、ド一ミエ)と写実主義(クールベ、マネ)。 
-第29−33室は、印象派および後期印象派。モネの風景画「雪景色」、ピサロ「刈り入れをする女たち」、シスレー「モレのロワン河岸」。ルノアール「章上の少女」。セザンヌ「サント=ヴイクトワール山」、広く平坦な色彩で構成されたゴーガンの「タ・マテテ」。ゴッホの風景画と肖像画。

3階:
今世紀の絵画ピカソとブラック。続いてルオー、スーチーヌ、フランドルのコンスタント・ペルメーケなどの表現主義。シャガールと税関吏ルソーのために特別に1室。
 フアン・クリスやフエルナン・レジェの数多くのキュービズムの絵。シュールレアリストのサルバドール・ダリ、ミロ、マックス・エルンスト、パウル・クレー。さらにカンディンスキーやピート・モンドリアンの抽象絵画など。

その他のバーゼルの見どころ
大聖堂 Munster
12世紀の建物で、14、15世紀に一部改築され、19世紀に修復された。
赤色砂岩の聖堂に、2本のゴチックの塔が立っている。
塔の上に上がって眺望できる。
塔の間には、13世紀半ばのポーチがある。正面入口のアーチ型を飾る預言者や天使の小像と葉や花模様の飾り紐が繊細で美しい。その右に「誘惑者と愚かな処女」の像がある。
左手に、ロマネスク様式の聖ガールの扉□、そのタンパンに「審判者キリスト」、楕(まぐさ)に「賢い処女と愚かな処女」、アーキボールトの上に「死者の復活」がある。そしてこれらすべてを見下ろすように「運命の女神の車輪」がある。
内部には五つの身廊がある。主廊にロマネスク様式の柱頭とトリフォリウム。右側廊の突当たりに、聖ヴィンセントの殉教を表す赤色砂岩の11世紀の浅浮彫。左側廊にもまた、アーケードの下で(二人ずつ)話し合う使徒の11世紀の浅浮彫。
後陣は、昔ここに建っていた豪華な司教矧こちなんでプファルツPfaIz、すなわち「王宮」と名づけられたテラスに面する。テラスからはすぐ下を流れるライン川とバーゼル市街、シュヴアルツヴアルト、ヴォージュ山脈の眺望が得られる。

市庁舎 Rathaus
1504−14年に建てられた後期ゴチック様式の建物で、1898−1902年に増築、修復された。
フレスコ画に装飾されたファサードの傍らに、小尖塔つきの大きな近代の塔がそびえる。
中庭には、かなり修復された17世紀のフレスコ画と町の創立者ムナティウス・フランクスの像がある。
参事具室には、16世紀の紋章入りステンドグラスがある。

聖ベーター教会 Peterskirche
ゴチック末期の赤色砂岩の教会。
内部の右側廊と、内陣左手の小聖堂に14、15世紀のフレスコ画。

シュパレン門 Spalentor
13、14世紀の美しい記念ゲートで、19世紀末に修復された。
狭間のある二つの円塔が、高く尖った袖薬瓦屋根の主屋をはさんで立つ。
落とし格子の上の、西側ファサードの最上部を飾るのは、赤色砂岩の彫像とバーゼルの大紋章。

歴史博物館 Historisches Museum
博物館の建物は、14世紀に建立されたフランシスコ会の教会。
地下に、ガリアとローマの陶器がある。
バーゼル近辺の墓地から発見された、5−7世紀のゲルマン族の金銀細工、ローマの彫刻。地下に下りる階段の傍らには、眼と舌が動く17世紀の愉快な小像「レーレン王Lallenkonig」もある。
身廊には、バーゼル大聖堂の内陣聖職者席、14〜17世紀の噴水の円柱。
側廊に、家具、ステンドグラス、織物、肖像画、貨幣、メタル等を備えた15〜17世紀の部屋が教室復元されている。
さらに南側廊には、コサック時代のタピスリー、15世紀の長持と工芸品。北側廊には、バーゼル同業者組合の記念の品々。
 内陣に、南ドイツ、メミンゲンのイーヴオ・シュトリフゲルによるレターブル(1512年)。15−16世紀の宗教彫刻とステンドグラス。
北側の小さな聖具室に典礼器具。

古代芸術博物館 Antikenmuseum
前ギリシア時代からローマ時代に至る古代芸術を展示する。とくに紀元前1000年間のギリシア芸術に重点をおく。

聖アントニウス教会 St.Antonius Kirche 
建築家モーザーの設計に基づき、1925〜31年に建設された鉄筋コング」一トの教会。
半円筒形の身廊にはアーチ形の格天井、側廊は平らな格天井。
ハンス・シュトッカーとオットー・シュタイガーの手になる色彩豊かなステンドグラスが、広大な身廊部を照らしている。

スイス船舶航行博物館 Schweiz Schiffahrts-ausstellug Museum
「バーゼルから海へ」Unsor Weg zum Meerというテーマで、ライン水運のさまざまな様相を展示し、スイスの対外交易に占めるライン川の重要性を明示する。

民族学博物館 Museum fur Volkerkunde 
大規模な自然科学および先史部門を併置する。
民族学部門は、世界各地の仮面、武器、彫刻、陶器、織物、アジア・オセアニアとコロンブスの発見以前のアメリカの工芸品など、14万点近くを展示する。

バーゼル近郊
聖クリショーナ礼拝堂 St.Chrischona-Kapelle
バーゼルからリーエンRiehen方面へ8km、約15分。
バーゼルの住宅街、ついでベッティンゲンを通り、聖クリショーナ礼拝堂まで登る。
傍らのテラスより、東のゼンティス山から西のジュラの支脈まで、北側にはライン平野が望める。

ブルーターホルツ給水塔 Wassorturm Bruderholz
バーゼル市街から3.5km。
給水塔は、広大な砲台広場に立っている。砲台広場という名は、ナポレオン一世に対する連合軍の最後の戦いの折、スイス連邦が1815年ここに築いた要塞に由来する。164段登った給水塔の上からは、バーゼル、ジュラ山脈、シュヴァルツヴァルトの帳場鵜ができる。

ローマ遺跡アウグスト Augusta Raurica
バーゼル市街から11km,約1時間30分。
紀元前15年頃建設されたライン川最古のローマ遺跡。
収容人員8000人の円形劇場は、スイス最大のローマ遺跡。
劇場は修復されて、野外イベントに使用されている。
ローマ時代の商店を兼ねた住宅が復元されている。
その浴場の床の断面から、床下暖房装置が見られる。
カイザーアウクストの古壁(ライン渡河を監視した橋頸塗)の下から1962年発掘された宝物Silberschatzを収める博物館もある。

ムッテンツMuttenz
バーゼル市街から南東へ5km。
人口約2万の町の中央に、一見要塞と見まちがうような教会「ドルフキルヒェ Dorfkirche」がそびえている。もとはロマネスク様式の教会だったが、15〜16世紀に改修され、周囲に狭間付きの防壁をめぐらした。彫刻を施した木製屋根の風変わりな小身廊にルネッサンス初期のフレスコ画の修復された断片がある。

リースタールLiostal
バーゼル市街から南東へ16km。
人口約1.5万。エルゴルツの谷の緑の斜面にいだかれた小都市、準州、バーゼル=ラントの州都。
中世の門からネオ・ゴチック時代のフレスコ画で飾られた市庁舎まで、前世紀のカラフルな家が立並ぶメインストリートのラートハウスシュトラーセRathausstrasse(市庁舎通り)を散策するといい。

(参考資料:スイス政府観光局など)