概要
-ビールはドイツ語表記、ビエンヌはフランス語表記、同じ名の湖に面した湖岸の町。
-ドイツ語圏とフランス語圏の境界線上にあるこの町の、3分の1の住民がフランス語を話す。
-ジュラ山脈の最後の支脈の麓でビール(ビエンヌ)湖の北端にある町。
-ドイツ語とフランス語を公用語とし、2カ国語併用が法律で定められ、両者はまったく同等に扱われている。
-現代的な下町と、高台の旧市街が対照的。
-13世紀にバーゼルの領主司教によって築かれた美しい中世都市の面影は、今も旧市街によく残されている。
-オメガやスウォッチの本社がある時計産業の中心地で6000人がが働いている。
時計に加えて、精密機械工異、針金、グラフィックアート等の関連産業も相次いで拡大している。

データ
-人口約600,000
-標高436m
-言語:ドイツ語・フランス語2カ国語併用

アクセス
鉄道
ジュネーブ空港駅から急行ICNで1時間20分、ジュネーブ駅からは1時間10分。
特急ICはベルン経由となるのでビール/ビエンヌにはいかない。
チューリッヒ中央駅からは急行ICNで1時間10分、空港駅からは1時間30分。中央駅で折り返しのため、約20分間停車する。

旧市街
-さまざまな古い噴水や、精巧な鉄細工の看板を飾った昔の家々が並ぶ。
-ブール通り/フルクガッセ Rue du Bourg/Burggasse:
とくに目を引くのは、赤色砂岩のマリオン(仕切り)の入った窓が並ぶ正面の階段状切妻の市庁舎、19世紀から劇場となった16世紀の武器庫、など、14世紀の火事後に再建された15−18世紀の建物が残る。1744年の正義の女神の噴水もある。
-リンクRing広場:
ビールがバーゼルの司教公の支配下にあった11世紀からフランス革命までの間、町の中心地だった。裁判もここで行われた。
被告は、半円状に並ぶ座席についた評議員の前に出頭したのだが、これにちなんでリンク(輪)という名が広場につけられた。
リンクの真中に立つ一風変わったバナレット騎士の噴水(1546年)は、民兵と戦争を象徴するもの。 
広場を囲むように、アーケードと小塔を備えた古い家並がある。
近くには聖ブノウ教会の塔がそびえる。
-オーバーガッセ/オート通り Obergasse/Rue Haute:
ベルン式のアーケードをそなえた家と、ブルゴーニュ風の家が並ぶ。
天使の噴水と呼ばれている、1564年のとても美しい噴水がある。
悪魔のおどしから仔羊を抱いて守る天使を表している。

ビール/ビエンヌの見どころ
シュヴァーブ博物館 Musee Schwab
フランス語圏スイスの先史時代研究のパイオニアと言われているシュヴアーブ大佐(1803−69)の発見によるコレクションを展示する。
スイスの湖上生活時代を通じての、最も名高いさまざまの発掘品が見られる。
ビール(ピエンヌ)湖、ヌーシヤテル湖、モラ(ムルテン)湖等に由来するコレクションとともに、プティネスカPetlnescaとラ・テーヌLa Teneの、ガリア=ローマ遺跡の発掘品も展示。

ビール湖 Beiler see
氷河湖であるビ一ル湖は、ジュラ山脈の最後の支脈のふもとに、15kmにわたって広がっている。
かってはもっと広かったが、1878年水位が2.2mも下がり、このため南岸で、先史時代の湖上生活の遺跡が20ばかり発見された。
同じ頃、アーレ川の水が一部湖水に流入するようになった。

ザンクト・ベーター島 St.Petersinsel
ビールもしくはラ・ヌーヴヴィルから船がおすすめ。約半日。
湖の南西の端にある島は、島と呼ばれているが、実際は前世紀の水位の低下以来、地続きになっている。
ベルン元老院によって、ピールさらにはソロトゥルンヘの隠遁を余儀なくされたルソーは、1765年の秋、この島にしばらく滞在した。
当時の思い出を彼は、「告白録」と「孤独な散歩者の夢想」の中に書きとめている。
北側から歩いて、容易に島を一周できる。
ルソーが用いた小さな船着場を経て、自然の友ルソーが住んだ家に至る。
この建物はもと、12世紀のグリュニー修道院。
宗教改革の後、宿屋に改められた。ルソーの部屋の簡素なたたずまいが見られる。
ザンクト・ベーター島と、その隣の小さなウサギ島 Ile des Lapinsは、さまざまな渡り鳥や、野ウサギ、ノロ(小柄な鹿)などの棲む自然保護区。ここもやはり水位の低下以後、帯状の沼地によって地続きになった。

北岸
昔の面影を色濃くとどめた、ビール湖北岸のフランス語圏地域。

クレシエ Cressier
人口2000。
湖から少し離れた、昔の面影を残すぶどう栽培の村。
サン=マルタン通りRue des St-Martinに、1576年のエルカーがある家。
その近くに、四隅に先のとがった小塔を備えた、ヴァリエVallierの館(やかた)(1610年)。
-ル・ランドロン Le Landeron
人口4000。
湖の近くの、野菜畑と果樹園のただ中にある小さな町。
2基のバナレット騎士の噴水がある、木陰になった広場がある。
出入口を城門(北側は1659年、南側は1596年)でかためた細長い広場には、古い家々が立並ぶ。
とりわけ、殉教者の礼拝堂の傍らの、15世紀の市庁舎と、36番地の、3階に縄状くり形の窓のある1550年の館が見どころ。

ラ・ヌーヴヴィル La Neuveville


ビール/ビエンヌ近郊
アールベルク Aalberg 
人口3500。
ビール/ビエンヌから南へ11km。
この豊かで小さな町は、運河でビール湖と連絡している。下の町から、アーレ川にかかる木造の屋根付き橋(16世紀)を渡って行く高台の町、とりわけその中央広場シュタツトフラッツstadtplatzは一見に値する。
噴水が二つある楕円形の広場には、高雅なクラシック様式のファサードの家々が並び、修復された15世紀の小教会が立つ。
毎年、4月と8月の最後の金・土曜日に「がらくた市」が開かれる。
(参考資料:スイス政府観光局など)