ドイツ鉄道

ドイツの鉄道は日本のJR同様、民営化されドイツ鉄道Deutsche Bahn, (略称DB)となっている。
ドイツ全土を網羅し、高速列車を運行している。
戦後、東西に分裂していたときは、旧西ドイツ国鉄はドイツ連邦鉄道 Deutsche Bundesbahn(DB)、旧東ドイツ国鉄ドイツ国有鉄道 Deutsche Reichsbahn(DR)として運営していたが、1991年の統一後、1994年はじめに統合、民営化され,現在のドイツ鉄道が誕生した。民営化されても依然として国の所有となっており、実際には株式会社化されただけとなっている。

運賃・料金
ICE,IC。ECには特別料金、寝台車は寝台料金が必要。

料金制度・チケットの購入
自動券売機。左側は近距離専用、右側はタッチパネルのある一般用。一般用でも近距離切符は購入可能だが、専用ボタンのある近距用販売機を使ったほうが早い。
自動券売機の切符の例。Sparpreis 50、BahnCard 25の併用。デュッセルドルフ市内のゾーン切符付き。Sバーンなど都市近郊の列車ではゾーン制運賃になっており、中央駅を中心にある範囲はいくら、という価格設定になっている。ゾーン制の切符は路面電車やバスと共通である。切符は改札してから2時間程度有効で、その間乗り降りは原則として自由。ただし、詳細は都市によって異なる。ベルリンなどでは片道のみが有効。つまり、A駅からB駅に行く際、途中の駅での乗り降りは自由であるが、B駅からA駅に戻る場合は2時間以内でも新たに切符を買わなくてはならない。改札は駅のホームまたは車内にある自動改札機で行なう。改札を受けていないと検札の際に不正乗車と見なされ、高額の罰金を徴収されることがある。

長距離の切符は行き先を指定して購入する。長距離切符は経由駅が指定でき、途中下車も48時間以内まで可能である。列車の料金はICE、IC、ローカル線で異なる。切符は窓口か自動券売機で買う。インターネットでも全列車の切符のクレジットカードによる予約・購入できるほか、国外他社線も直通列車の一部について購入が可能である。

自動券売機はタッチパネル式であり、どんな駅にも少なくとも1台は置いてある。ただし、タッチパネル方式の長距離路線用のものと、押ボタン方式の近距離路線用の2種類があり、同じ交通連合内のゾーンに含まれる近距離の場合は、ドイツ鉄道のローカル線を利用する場合でも、近距離用の券売機でしか購入できない。また、前者ではクレジットカードでも決済できるが、後者では現金のみである。さらに、地方の無人駅などでは近距離用の販売機しか置いていないことがあるため、長距離、特に後述のBahnCardを利用した割引切符の購入や、路線検索などができない。

長距離用の自動券売機は割引切符なども購入できるうえ、後述のSchones Wochenende Ticket(週末乗り放題チケット)や、Sparpreis(特割)など、窓口で購入すると手数料が加算される切符も追加料金がかからない。改札は車内で車掌が行なう。

指定席券は別になっており、一律3ユーロ。ただし、インターネットの場合1.50ユーロ。指定席車両、自由席車両の区別はなく、座席ごとに予約の有無が表示される。予約のある座席には予約されている区間を示したカードが貼られる。ICEのボックス席の場合は予約区間は入口の電光板に表示されている。一部の全車指定席列車を除けば予約は必須ではなく、予約のない区間は自由に座ってよい。

アウトバーンとの競争があるため、割引制度が充実している。半額以下で利用できる場合も少なくない。たとえばハンブルクからミュンヘンまで(約800km)はICEの正規料金で115ユーロであるが、最も安い割引切符だと20ユーロ以下にまで下がる。

主な割引制度を下記にあげる。価格は2008年現在のもの。

BahnCard 25, 50, 100
BahnCard 25だと一律25%割引、50だと50%割引になる。100は乗り放題。年会費は25が55ユーロ、50が220ユーロ、100が3500ユーロ。駅の窓口で誰でも購入できる。外国人も利用可能。証明写真が必要。25と50を利用して購入すると主要都市でのバス、路面電車、Sバーンなどが利用できる City Ticket(駅名のあとに「+city」と表示)がついてくる。
Sparpreis 25, 50
飛行機の「特割」のような制度で、特定の列車に適用される。早朝や夜の列車に設定されることが多い。予約した列車のみ有効。Sparpreis 50は50%割引で72時間前までに購入しなければならない。Sparpreis 25は25%引きになり48時間前まで購入できる。BahnCard 25との併用が可能(BahnCard 50は不可)で、Sparpreis 50とBahnCard 25の場合62.5%引きとなる。
Schones Wochenende Ticket
日本の青春18きっぷのように普通列車と快速列車が一日乗り放題になる切符。ICE, IC, ECの利用はできない。英語で"Happy weekend Ticket"とされている。35ユーロ。土日や祝日に利用できる。1枚の切符で5人まで乗ることが可能。BahnCardとは併用できない。
列車の種類
ICE:Inter City Express (都市間超特急)
白いボディに赤いラインが入った専用車両。
最高速度300km/hでドイツ主要都市間を結んでいる。
隣国の大都市にも乗り入れていく便もある。
高速専用線区を走行する場合には、250km/h〜300km/hの高速運転を行い、それ以外の線区では200km/hで運転を行う。
ヨーロッパ各地への直通列車は、各国がメカニックが異なるため、国境で機関車を付け替えるが、ICEでは隣国のシステムに自動的に変えるシステムになっている。
1等車・2等車・食堂車 (または軽食堂車 ) で編成されている。
大都市間を1〜2時間間隔で定期的に運転されている。

IC:(InterCity(インターシティ) (都市間特急)
ドイツ国内の都市間を結ぶ特急で、1〜2時間間隔で運転されている。
大都市間にある中都市をカバーしている。
ヨーロッパ各国とも国内区間の特急に、ICが運転されている。
1971年に当時の西ドイツでビジネス客の日帰り可能な区間に運転を開始したもので、日本の「エル特急」はこれをモデルにして誕生したもの。
機関車と客車で編成されているが、区間によっては高速専用線区を200km/hで走行する列車もある。
区間によっては、ICEと所要時間がほとんだ変わらない場合がある。

EC:(EuroCity(ユーロシティ)
ヨーロッパの都市間を結ぶ国際特急列車で、ヨーロッパ各国に直通運転されている。
国境で機関車だけが付け変わり、3-6カ国を横断する。
1等車と2等車があり、時間帯によって、通過する国で、食堂車が増結される。
乗車には特別料金が必要。国を越えるたびに車内検札がある。
ICEや各国のICの進化でECはかなり減少してきている。

Thalys (THA):(タリス)
フランスのパリ東駅・ベルギーのブリュッセル・オランダのアムステルダム・ドイツのケルン中央駅を結ぶ国際超特急列車。ドイツには、パリ・ブリュッセル発着の列車がケルンまで直通する。全車指定席で、特別料金が必要。タリス社が運営している。
都市近郊・ローカル列車 [編集]

IRE:InterRegioExpress(インターレギオエキスプレス)
「都市間急行」と訳される。従来のIR (InterRegio) に代わる列車として、比較的短い地域間を結ぶ急行列車。特別料金は不要。

RE:RegionalExpress (レギオナルエクスプレス)
日本の快速列車に相当するが、ドイツでは標準的なポジションにある列車でもある。1〜2時間間隔のパターンダイヤを組む。大都市近郊では快速運転を行い、それ以外の地域では、事実上の普通列車となるが、運転区間が数百キロに及ぶ列車も少なからず存在し、かなりの遠距離を移動することもできる。ほとんどの列車が1等車と2等車で組成されている。車種も豊富で、電車・気動車・客車が使われ、地域によってはダブルデッカー客車が使用されている。2006年12月10日ダイヤ改正からミュンヘン - インゴルシュタット - ニュルンベルク間で運転される"Munchen-Nurnberg-Express"(当初は"FRESH"という名称が予定されていた)は、REではあるが、高速新線 (NBS) を最高速度200km/hで走り、車両も特急並みの客車を使用する。

RB:RegionalBahn (レギオナルバーン)
日本の普通列車に相当するが、ドイツでは標準的なポジションにある列車、最も利用する機会が多い。1〜2時間間隔のパターンダイヤを組む。大都市近郊でSバーンが併走するような区間では、快速運転を行うこともある。ほとんどの列車が1等車と2等車で組成されている。車種も豊富で、電車・気動車・客車が使われ、ローカル線にも贅沢な車両が使われているほか、地域によってはダブルデッカー客車が使用されている。都市によっては、REとRBの中間にSE(シュタットエキスプレス StadtExpress)を設定している場合もある。停車駅としては一般的に、RE<SE<RB<Sバーンの順に多くなる。

S-Bahn(Sバーン)
都市近郊列車。各駅停車で、各都市の中央駅を中心に、周辺地域を結んでいる。

最近はローカル線の経営改善のため、地方の自治体や地元企業に運営を委託するケースが増加している。
基本的にはドイツ鉄道DBのREやRBと同格であり、ドイツ鉄道のチケットでも乗車できる。

(夜行列車)
高速特急の発達で、ドイツ国内の都市間を結ぶ夜行列車は限定的になり、多くはヨーロッパの都市間を結ぶ列車となっている。

City Night Line (CNL)(シティ・ナイト・ライン)
日本の寝台特急に相当する夜行列車で、オランダ・スイス・オーストリア・デンマーク・チェコ・イタリア・フランス・ベルギーなどと結ぶ。
スペイン・バルセロナへは軌道幅の変換のできるスペインのタルゴTalgoが使用されている。

Euro Night (EN)(ユーロナイト)
日本の寝台特急に相当し、ヨーロッパの都市間を結ぶ国際夜行列車である。

D-Nacht (D)(Dナハト)
主に東ヨーロッパ方面に向かう夜行急行列車。

DB AutoZug (AZ)(DBアウトツーク)
寝台車と自動車運搬車で構成されるカートレイン