カンボ・レ・バン Cambo-les-Bains

(Ovniより転載)

ヴィラ・アルナガ Villa Arnaga

エドモンド・ロスタン博物館 Edmond Rostand

世界的に有名な戯曲「シラノ・ド・ベルジュラック」の作者であるエドモン・ロスタンは、若くして肺の病気に苦しめられていた。そんな彼が療養のために家族とともに1900年に訪れたのが、バスク地方の温泉地であるカンボ・レ・バン。
バイヨンヌから南へ約20kmに位置する。
澄んだ空気とクオリティーの高い温泉で知られていたこの地に惚れこんだ作家は、パリでの暮らしをあっさり捨てて、カンボに邸宅を構えることに。
 方々を探し回った末にロスタンが住まいとして選んだ地は、四方をピレネー山脈に囲まれた丘の上だった。両脇を流れる川のひとつは「アラガ」といって、バスクの言葉で「石の場所」という意味。邸宅につけられた「ヴィラ・アルナガ」という名前は、その川からきている。
 1903年から1906年の間に作られた邸宅と庭園は1962年から美術館として一般に公開されており、年間約9万人の人々が訪れる。美術館のすぐ近くにある湯治施設から散歩気分で訪ねてくる人もいれば、一般の観光客、中には、ニュージーランドや韓国など遠方からやってくる熱心なロスタン愛好者もいるという。
邸宅にたどり着く前に訪れる者が圧倒されるのは、幾何学模様のフランス式庭園。美し く刈り込まれた植木に色鮮やかな花々、中央に設けられた石造りの人工池など、ベルサイユ宮庭園を小さくしたようなこの庭園。それが個人の所有物だったとは、にわかに信じがたい。
 庭園の先にやっと見えてくるのが、当時はその存在自体が珍しかったというテラス。学芸員のベアトリスさんによると「庭園と室内をつなぐダイアローグ」であるこの空間には、口スタンが自らパラソル型の植木を植えたのだという。そんなテラスを通り抜けた先には、重厚でありながらロマンチックな「ロスタン帝国」が広がっていた。
 ステンドグラスで彩られた明るい玄関ホールは、まるで劇場の入り口。壁にはロスタンとその妻、ふたりの息子の肖像画がかかり、上を見上げると、ヴィクトル・ユゴーの詩をテーマにした壁画がバルコニー席を飾うている。
美しい装丁の本が整然と並んでいる図書室、古代風の食堂やすっきりとした配膳室、第一帝政様式の書斎、童謡を題材にした絵画が飾られた子供部屋、愛妻ロズモンドの寝室、そして肺の治療のために設けられた水療法の部屋まで、館内に設けられたすべての部屋からロスタンの世界観がダイレクトに伝わってくるようだ。どこをとっても趣味の良さが際立つのは、優れた建築家だったアルベール・トゥルネールの力量、そして、ロスタン自身が幼少から培ったセンスの証だろう。
 「ヴィラ・アルナガ」のもうひとつの特徴は、まるで一流ホテルのような快適さ。いち早く電気を使った暖房や調理機器を取り入れるなど、館内には当時最新の技術が導入されていた。また、実に40人ほどの使用人が、主人一家のためにまめまめしく働いていたという。
思い切り創作に打ち込める環境の中、ロスタンは流行作家としてのプレッシャーや病と闘いながら、1910年に新しい戯曲「東天紅」を完成させる。鶏を主人公としたこの新作、批評家には手酷く叩かれた。ただ、観客には情熱的に迎えられて、フランス全土、そしてヨーロッパで幾度となく再演された。

Villa Arnaga
Route du Docteur Camino 64250 Cambo-les-Bains
Tel;05.5929.8392
開館時間
4月1日から11月3日まで9h30~12h30、14h~18h。7月と8月は10h~19h (その他、詳細はサイトを確認のこと)。
オーディオガイドあり。
www.arnaga.com

アクセス

鉄道

パリ・モンパルナス駅Montparnasseからバイヨンヌ駅BayonneまでTGVで約5時間。
駅からバス814番でCambo Portail Arnaga下車(約30分)。もしくは車で約15分。















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