シャンボール城 Chateau de Chambord


概要

フランソワ1世は1519年レオナルド・ダ・ビンチの死の直後から建築に着手。
広大な森を持つ城の総面積は5500ヘクタール、山手線の内側の面積に匹敵する広さ、居住用ではなく、狩猟を行うために造られた。426の部屋を持つ。
正方形の館を兵舎が取り囲む構造。建物はシンメトリーだが、屋根に建つ無数の塔の形は皆違う。
無数の塔が立つ。完成までに139年を要した。

シャンボール城で最も重要な見どころが螺旋状の中央の階段である。
これは2重螺旋階段になっている。
レオナルドが残したアイディアをフランソワ1世が実現させたもの。
フランスでこのような階段があるのはシャンボール城だけ。
レオナルドが考えるまで誰も思いつかなかったアイディアである。
レオナルドは複雑な階段の構造を研究していたのが彼のデッサンに残されている。そのアイディアをフランソワ1世が実現させたのである。

2つの階段が重なり合っていたため、階段には登り口が2つある。
シャンボール城では、城の中央に設置され、4階の屋上テラスまで上がることが出来る。
この構造により、上るものと、下るものが互いに途中で出会うことはない。

3階のホールの天井は楕円形、かまぼこ型になっているのも珍しい、半円の天井はどこにもあるが、楕円形の天井はシャンボール城だけの特徴である。これもレオナルドのアイディアの一つである。
螺旋階段を中央にした4つのホールがすべて同じ形、どの部屋にいるのか錯覚を起こさせてしまう。
天井の彫刻には、火を食べて生きているサラマンダーという想像の生き物である。
これはフランソワ1世の紋章である。王の強さを象徴している。
多くの職人に掘らせたサラマンダーは、それぞれ違う表情をしているという。
二重螺旋階段の中央は吹き抜けになっている。天井から明かりがさしこむ仕掛けである。
そして階段の最上階にあるのが、細部にまで施された彫刻、フランソワ1世の美へのこだわりがうかがえる。

屋上テラスに現れたのは、あの不思議な塔、城の中央にある螺旋階段を取り囲みのは、形や大きさが異なるいくつもの塔、実はこれらの塔は全て煙突である。城の中にある暖炉の煙突は全部で365本、これを数本ずつまとめて塔の中に隠している。この城の位置や煙突の装飾のバランスも広い敷地のどこから見ても美しく見えるように、すべてが計算されている抜かりないデザインである。
見る場所によってその美しさが変わる。正面からだと、二重螺旋階段の先端が中心になり、横から見ると複雑な塔の配置が実に面白い。
フランソワ1世がレオナルドから得たルネッサンスの美である。
城に招待されたフランソワ1世の宿敵、神聖ローマ帝国カール5世は桁違いのスケールの城を見てこう称賛した。
「シャンボールは人智の縮図だ」
フランソワ1世が生涯でこの城を訪れたのはわずか73日間だという。
王にとってこの城は使うためではなく、造ること自体が目的だったのかもしれない。
盟友レオナルド・ダ・ビンチがこの世に残してくれたさまざまなアイディアを具現化する作品として。
フランソワ1世がレオナルド・ダ・ビンチに寄せた信頼の強さは並々ならぬものだったようだ。
フランソワ1世はパリ郊外フォンテンブロー城でもレオナルドを滞在させ、「モナ・リザ」を飾ったという話がある。
レオナルドはイタリアから来た時、フォンテンブロー城に立ち寄ったといわれている。この時代のフランスを語るのに欠かせない人物ということになる。

シャンボール城は1685年、ルイ14世の時代に大改装し、ロワール川流域最大の城となった。

シャンボール城を案内するガイドがいる。受付で申し込むとすぐに来てくれる。
サマーシーズンには前庭から気球ツアーもある。一人200EUR。















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