エルバ島 lsoIa d'Elba
概要
エルバ島と聞くと、多くの人がナポレオンを思い浮かべる。しかし、エルベ島はヨーロッパの人たちにとって一大リゾート地であり、夏の7月から8月の混雑ぶりはハンパでない。頻繁に本土とを結ぶフェリーへも満員で乗れなかったり、ホテルは多いものの、どこも満室の上、高額で2食付きしか受けてくれなかったりして高姿勢だ。それはベネチアの比ではない。エルベ島観光には、6月か9月がおすすめだ。
エルバ島はナポレオンの滞在した館以外には見どころもない。大都市から時間や旅費など手間暇かけてわざわざ訪れて、ちょこっと1-2泊するところではなく、数日から1週間以上滞在してのんびりする島だ。

エルベ島は東西に長く27km,南北の幅は最大で18km、最も細いところは4kmに満たない。
面積は223,5㎞km2であり,シチリア、サルデー二ヤに次いでイタリア第3の大きさである。
イタリア半島ピオンピーノ海峡 Canale di Piombinoを隔てて、わずか10㎞しか離れていないので、強風が吹くことが多い。  

エルバ島は,ゴルゴ一二ヤ島,カプライア島,ピアノーサ島,ジリオ島,モンテクリスト島,ジャンヌートウリ島,およびその他の小島や岩礁とともにトスカーナ諸島をなしている。

エルバ島には鉱物資源が豊富で、3000年以上も前からこの島では,磁鉄鉱,赤鉄鉱,褐鉄鉱を採掘し,東部のリオ・マリーナを中心に今でも操業している鉱山もある。

地形は起伏に満ち、洞窟が点在し、岩がちな海岸線のあいだに,短い砂浜の入江がいくつか入り込んでいる。
植生は地中海的で、椰子、サボテン,セイヨウヤマモモ,クリ,オリーブ,こくのあるワインを生むブドウ(アレアーティコとモスカート)が見られる。


ナポレオンはパリ郊外フォンテーヌブローで皇帝を退位し、この地に追放された。つまり左遷のようなもので、
実際、わずかな廷臣とおよそ1000人の兵の警備隊に囲まれて、1814年5月3日から翌年の2月26日までの短い期間ではあるが、この島を最高君主として統治していた。
どうしても皇帝の座に返り咲きたかった彼は再度挑戦するのだが、ワーテルローで大敗を喫してしまうのである。
彼が最期に流刑の身となったのは、大西洋上のセント・ヘレナ島である。
しかし、エルベ島の滞在地だったボルトフェッライオでは今でも毎年5月5日に皇帝の冥福を祈るミサが執り行われている。


アクセス
エルバ島へのイタリア半島のゲートウェイはピオンピーノ Piombino。
ピサからCampilglia Marittima でIC特急45分(FS特急は停車しない)
接続列車に乗り換え終点ピオンピーノPiomblno Manttlma駅へ。
駅は港内にあり、徒歩でフェリーのりばへ
いくつかのフェリー会社が船を運航している。
通常の船で1時間、水中翼船などの高速船で25-40分。

ほとんどのフェリーは、エルバ島の中心で交通の拠点でもあるボルトフェッライオ Portoferraiに着く。ボルトフェッライオ発着は便数も多く、6~9月のハイシーズンで1時間に1便くらい。
ピオンピーノPiombinoからは、便数は少ないが、リオ・マリーナ Rio Marina、ボルト・アツズッロ PortoAzzurro、マリーナ・デイ・カンポ Marina di Campoに着く便もある。

空路
マリーナ・ディ・カンポの郊外に小さな空港からピサ、フィレンツェ、ローマなどへ飛ぶ便がある。(シーズンによって便数も異なる)


エルバ島内の交通機関
バス 
定期バスが、島内の主な町を結んでいる。
ボルトフェッライオの港のすぐそばにあるバスターミナルが基点となっている。
ボルトフェッライオから出るバスで、マルチアーナ・マリーナ、マリーナ・ディ・カンポ、カポリーヴェリ、ボルト・アツズッロ(主な町全部)のほか、サンタンドレアSant’Andrea、カーヴオCavo、フェトヴァイアFetovaiaなどの小さなリゾートやビーチへも行ける。
島の方面ごとに分かれている。ナポレオンの夏の別荘へ行くのは1番に乗る。
シーズンによって発着鳳雛が違うが、おおよそ1時間間隔だ。
観光案内所に最新の時刻表がある。
チケットは事前に窓口で購入する。車内では結構高くなる。
1回券は60分有効、他に1日券もある。

レンタカー
変化に富んだ海岸線を巡るのは定期バスやツアーではない醍醐味がある。
あらかじめ地図を見ておおよそのドライブルートを決めて変わるといい。
小さい島でも結構時間がかかってしまう。
大手のレンタカーはなく、地元の業者だけだ。夏のピークシーズンは予約で早くからいっぱいになる.車はオートマではないのでご注意。
バイクもある。



エルベ島の主な町・見どころ

ボルトフェッライオ Portoferraio
エルバ島の中心都市だが港周辺は最近開発された地区で、観光スポットはない。町並みはフェリーの発着する埠頭周辺から北東に延びる岬の高台へと広がっている。
丘の上に進むと中世の城壁に囲まれた旧市街に入る。
流刑に処されたナポレオンが1814年5月3日にここに上陸し,1815年2月26日にこの地を去った。
(見どころ)
ナポレオンの家 Museo Nazionale Villa dei Mulini
ポレオンが流刑の日々を過ごした住まいの一つで、すばらしいテラスのある庭園やナポレオンの蔵書が見どころ。
ナポレオンの夏の別荘 Villa Napoleonica di S.Martino(南西約5km)との共通券有。

フアルコーネの要塞 Forte delFalcone
16世紀の建造。ここから島の北海岸を眺望できる。
フアルコーネ通りに入って行くとナポレオンの家 Casa di Napoleoneあるいはパラツツイーナ・デイ・ムリ二Palazzina dei Muliniがある。
皇帝が住んでいた3軒の住居のうちの一つ。
小館の左側の大広間に17世紀の劇場 Teatroがあり,そこでパオリーナ・ボナパルテ Paolina Bonaparteや宮廷の貴婦人,廷臣たちが演劇を上演していた。

フォレジアーナ絵画館 Pinacoteca Foresiana
ナポレオン坂 Salita Napoleoneにあるラウジェール要塞 Forte de Laugierに16~19世
紀の絵画などが収蔵されている。
見学は10月~復活祭は午前のみ開館、日曜休館。
復活祭~6月末と9月は日曜は午前のみ開館,木曜休館。
7月と8月は10時~24時。

レワエレンダ・ミゼリコルデイア教会 Chiesa della Reverenda Misericordia
16~17世紀の建物で、ナポレオンの遺品を収蔵している。
町の中心部に向かってナポレオン坂 Salita Napoleoneを下りてくるとある。


町立考古学博物館 Museo Civico Archeologico
船の停泊地のある岬の南端のリングエッラ要塞 Fortezza della Linguellaに地元の遺跡からの発掘品が収蔵されている。


プロツキオ Procchio
ボルトフェッライオから南西へ11.5kmのビーチリゾート地。
ナポレオンの夏の別荘 Villa Napoleoneあるいはサン・マルティーノ San Martino
このヴィッラにはナポレオンゆかりの品のささやかなコレクションが展示されている。
見学は月曜休館、冬季午前のみ、
近くの岬の先端にはメデイチ家の塔あるいはサラセンの塔 Torre della Medicea o Saracena(12世紀)がある。


ヴォルテッライオ Volterraio
ボルトフェッライオから乗へ10km。
途中の3km地点にサン・ジョヴァン二鉱泉 Terme di San Giovanniがある。
古い塩田跡にイオウ,ヨードを豊富に含有する海泥地帯が5haにわたって広がっている。
5km地点のレ・グロッテ Le Grotte地区に見晴らしのよい帝政期のローマの別荘 Villa Romanaの遺跡がある。
10km地点のリオ・ネッレルパ地区に岩壁の突起部(394m)の上にそびえる城塞 Roccaの遺構,ヴォルテツライオがある。
エルパ人の昔の避難所で,エトルリアのアクロポリスにピサ人が建造した(11世紀)。眺めがよい。


リオ・マリーナ Rio Marina
エルバ島で最も本土寄りにある町で、古くから鉄鉱石の積み出し港として発展した。
町の中心には「鉱物公園」Parco diMineralioがある。
本土のピオンピーノからの船の便もある。

マルチアーナ・マリーナ Marciana Marina
島の北側にあり、ボルトフェッライオの西ほぼ20kmのところにあるマルチアーナ・マリーナは、小石の多い浜辺に面しているが、観光客は比較的少ない。
ブドウの栽培が盛んな地域。辛口のワインや食後酒の「アレアティコ」ができる。
ハイキングのスタート地点として人気で、内陸部にはマルチアーナ Marcianaやポッジ
ョ Poggioなどの村がある。
特にポッジョは魅力的で、簡単に行ける。
マルチアーナからケーブルカーでカバンネ山(1018m) Monte Capanneの頂上に登ると、はるか西にはコルシカ島まで見渡せる。


マリーナ・ディ・カンポ Marina di Campo
島の南側のカンポ湾 Golfo di Campoに画した、エルバ島第2の町。
夏は霞んでいて見にくいが、秋から冬の晴れた日には、
遠くのトスカーナ諸島の島影を望むことができる。
ビーチも散りたてて美しいとは言えない、ごく普通の海浜だ。さらに西へ行けば、もっと混んでいない海岸が見つかる。
町の周辺や海岸線沿いにはキャンプ場が多い。


ボルト・アッズッロ Porto Azzurro
ボルト・アッズッロは、すばらしいビーチを快適なリゾート。
1603年にスペインのフェリペ3世が築いた城砦がそびえている(現在は刑務所)。

カポリーヴェリ Capo Liveri
ボルト・アツズッロから少し南へ行く.
まるで小さな丘の上の「びっくり箱」のような町カポリーヴェリがある。
近くの海岸へ出るには、目のくらむような崖を下りなければならない。
バラパルカBarabarcaの海岸へは、崖に沿ったけわしい小道を行く。ズッカーレ
zuccaleの浜への道はもう少し楽で、家族向き。
文字どおり海辺のホテルに泊まりたければ、
ナレ一二ヨNaregnoはぴったりのスポットだ。