(トレンティーノ・アルト・アデイジェ特別自治州ボルツァーノ県)
●堂々たる山の頂に見下ろされ、のどかで伸びやかで牧歌的な大きな草原と森が特徴の渓谷。
●居住地区は大小にかかわらず,チロル地方の特色が濃く,鐘楼の尖端がタマネギの形で,壁は白く塗られていることが多い。
●また,木造建築や満開のゼラニウムが飾られたバルコニーをよく目にする。
●重要建築物として,独特な美術作品を抱えた宗教建築にもこと欠かない。
●この地方の名称は,「清流」を表すスラブ語の「ビストリカbistrica」に由来すると言われており,清流とはリエンツァ川Rienzaを指している。
この川は,セストSestoの奥山から流れ出るリオ・ネ一ロRio Neroとチーメ・デイ・ラヴァレードCime di Lavaredo山から流れ出るリオ・ビアンコRio Biancoの2本が合流したものである。
下って,ドッピアーコDobbiacoでブステリーア谷に注ぎ込み,谷沿いに東から西へと流れる。
●この谷は,南北の方向に刻まれた数多くのアルプスの谷のなかで,アルプス主脈とほぼ平行に走る数少ない渓谷の一つである。
●さらにリエンツァ川はリオ・デイ・ブステリーアRio di Pusteriaでブステリーアの谷を出て,プレッサーノネBressanoneでイザルコ川Isarcoに合流する。
●大きく広がるプステリーアの谷間は,谷のいちばん奥にある町のドッピアーコのさらに上流へとつづき,ドッピアーコの鞍部の人目につかない峠を通り,アディジェ川源流からドナウ川Danubioの源流地域へとつながる。
そこにはドラヴァ川Drava上流が,昔ながらの風景のなかを流れ,オーストリア国境を越えている。
●ブステリアの本谷とつながっている支谷のうち.北側の渓谷(ヴァッレスValles,フンドレスFundres,トウレスTures,アンテルセルヴァAnterselva,カジエスCasies)はアルプス分水嶺とそれぞれの氷河から始まり,南側の渓谷(バディアBadia,ブライエスBraies,ランドロLandro)はドロミテ山塊から始まる。ドラヴァ川流域では,サン・カンデイドS.Candidoでセスト渓谷が合流してくる。
プステリーアの本谷および支谷では,数多くの場所が保養地,スキー,登山に最適と看板を掲げている。