(トレンティーノ・アルト・アディジェ特別自治州州都)
標高194m。
人口:約200,000人。
●ヴェローナ Veronaの北約90km、
●トレントは、プレンタ山塊の近く、はげ山と小さな丘といくつもの渓谷がつづく谷の中の、アディジェ川沿いにある。
●昔からドイツとイタリアを結ぶ重要な交通の要衝であった。
ゲーテもモーツァルトもイタリア旅行にはここを経由していった。
現在でも、ドイツ、オーストリアからイタリアへ入る最短の高速道路が通じている。
●ローマ帝国下ではローマの植民地、次いで4世紀以降、司教座の置かれていたトレントは、テオドリックの東ゴート族に、次いで6世紀にはロンコパルド族に占領され、10世紀末には神聖ローマ帝国に併合された。
●1004年から1801年まで、司教大公によって統治された。
●この町では、有名なトレント(トリエント)宗教会議(1545−63)が開かれた。
この会議は新教の台頭をはばもうとしたもので、反宗教改革の発端となり、この運動は教会の様相を変えることになった。
●19世紀になって、ナポレオンの支配を受けたのち、1814年にオーストリアの支配となる。
1918年になってようやくイタリア軍によって解放されることとなった。
●この町も旧市街地の多くの部分は、車の乗り入れができない。


アクセス
鉄道
ヴェローナVerona Porta Nuova駅から約1時間。40-60分間隔。


旧市街
ベレンツアーニ通り Via Belenzani:
広くて優雅なこの通りは,町で最も美しい通りのーつ。
両側にヴェネツィア様式の舘が建ち並ぶ。
通り沿いに,16世紀のヴェネト風のルネッサンス様式の館が並び,フレスコ画を施したファサードを持つものもある。
20番地に、フレスコ画装飾のファサードを持ち,円形装飾と二連窓,三連窓を配したジェレミア館Palazzo Geremia。
32番地に、単一の窓がたくさんあるファサードを持ち.そのフレスコ画装飾はフォゴリーノの作とされている同時代のアルベルテイ・コリコ邸Casa Alberti Colico。
トウン館Palazzo Thunは,現在は市庁舎になっており、正面には、フレスコ画の描かれた壁をもつ家々がある。
通りの終点には建つバロック様式のサン・ブランチエスコ・サヴェリオ教会S.Francesco Saverioが建つ。
マンチ通り Via Manci:
重要な建物が通りに沿って建ち並ぶ。
この通りは、ヴェネツィア様式(ロッジアやフレスコ画)と突き出た屋根の山地様式とが混じり合っている。
63番地には、「悪鬼の館」と呼ばれているバロック様式のガラッツォ館 Palazzo Galassoがある。
57番地の16世紀のべドロッティ舘 Palazzo Pedrottiは,現在、トレント山岳協会Societa degli Alpinisti Tridentini(SAT)が入つており,小さなSAT資料館Museo della SATがある。見学は土曜のみ。
サルワァドーリ舘Palazzo Salvadoriは,かつてはシナゴコーグだった。
通りの終点スッフラージョ通りVia del Suffragioとの交差点には、扉ロが美しく2階と3階には三連窓があるモンテ舘Palazzo del Monteがある。ここには,1540年頃に描かれた「ヘラクレスの功業」をテーマとしたフレスコ画がある。



見どころ
ドゥオモ広場 Piazza del Duomo:
町の記念碑的中心。18世紀のネプチューンの泉Fontana del Nettunoが広場を飾り,周囲には壮麗な建物が建ち並ぶ。
南側はドゥオモの長い側面で区切られている。
東には,司教区博物館が入っている二連窓と三連窓のある13世紀のプレトリオ宮殿 Palazzo Pretorioが建ち,市民の塔torre Civicaがそびえている。
北東には.ファゴリーノ(16世紀)のフレスコ画が飾るファサードを持ち,正面に小さなアクイラの泉fontana dell,Aquilaを配した16世紀のカツッフィ邸 Case Cazuffiが2棟建っている。
ドゥオーモ Duomo:
12世紀から13世紀にかけてロンパルデイア・ロマネスク様式で建造された。
北のトランセプトのファサードには、人間の運命を支配する運命の女神の寓意画が描かれた大窓が付いている。
内部では、塔に通じる独創的な階段の昇りが荘厳である。右のキリスト十字架像の礼拝堂(17世紀)には、大きなキリスト礫刑像が納められており、この前で宗教会議の決議令が布告された。
右のトランセプトには、1486年に殺されたヴェネツィアの傭兵隊長サンセヴエリーノの墓石がある。
内陣の下から5世紀初期キリスト教時代の聖堂の遺構が掘り出された。
司教区美術館 Museo Diocosano:
プレトリオ宮殿Palazzo Pretorio内にある。
大聖堂の宝物のうち最もすばらしい品々、絵画、彫刻を施された木製画板、レタープル、16世紀初めにピエール・ファン・アエルストによって製作された8枚のブリュッセルのタピスリーなどを所蔵している。
フォン・コンシリオ城 Castello del Buon Consiglio(トレンティーノ州立美術館):
司教伯の古い居城。低い塔のある防護壁の中にそびえる。
現在、トレンティーノ州立美術館が置かれている。
城は複数の建物からなる。北側には,左は、カステルヴェッキオCastelvecchio(古い城)(13世紀)と「トーレ・グランデtorre Grande」(通称アウクスティヌスの塔)、
中央には,司教が住んでいたルネッサンス様式の「パラッツォ・マーニョ」(大宮殿の意。16世紀)。
南には、ルネッサンス様式のマーニヨ舘Magno Palazzoが構える。
1520〜30年代に司教伯ベルナルド・クレジオが建てさせたもの。
ジロ−ラモ・ロマニーノGirolamo Romanino(1531〜32年)によって見事にフレスコ画が描かれたライオンの中庭に面する広い開廊を持つ。
月曜休館。
この城にある-州立美術館 Museo provinciale d'Arteは数ヵ所に分散する中のトレント館で.古代,中世,現代のセクションがある。
州立美術館は,その他にべゼーノ城castel Beseno,ステニコ城castel Stenico,トウン城 castel Thunに開設されている。
タバレルリ宮殿 Palazzo Tabarelli:
付け柱、ぱら色大理石の小円柱、そして円形浮彫装飾をもつ、ヴェネツィア・ルネッサンス様式の建物。
-サンタ・マリア・マジョーレ教会 Chiesa di Santa Maria Maggiole:
ロズミーニ通りvia Rosminiの始点の同名の広場に建つ,1520〜24年のルネッサンス様式の教会。
宗教会議の数多くの審議が、ここで行われた。
このルネッサンス様式の建物には、ロマネスク様式の鐘楼が残っている。
内陣には、ウィンチェンツォ、ジェロラモ・グランディ作の、彫刻を施された大理石製の優美なオルガン演奏席(1534年)がある。
身廊の右側2番目の祭唖には、モローニによるレターブル「マドンナと聖人たち」(16世紀)がある。
ヴァンガ塔 Torre Vanga:
狭間つきの正方形の塔。
アディジェ川にかかる橋を見張るために,13世紀に建てられた。
塔の手前に狭間つきの13世紀の建物がある。
-サンタポリナーレ教会 Chiesa di Sant'Apollinare:
アディジェ川の右岸沿いにあるロマネスク様式起源のこぢんまりした教会。
先のとがった風変わりな屋根が、丸く張り出したゴチック様式の二つのボールトをおおいつくしている。
ダンテ広場 Piazza Dante:
鉄道の駅からトレントの町に入ると、広い樹木の茂みと色とりどりの花壇で美しく飾られた庭園であるすばらしいダンテ広場がまず迎えてくれる。広場中央に立つダンテ記念碑はチユーザレ・ゾッキCesare Zocchi作で、1896年に作られたもの。
三つに分けられた台座には『神曲』の世界が描かれ、その上に片腕を伸ばした詩人の像が乗っている。 
この広場をはさむように,東には現代的な建築が集まった州庁舎Palazzo della Regione(1954〜62年,アダルベルト・リペラAdalberto Liberaによる),北西に国鉄駅,北には県庁舎palazzo della Provinciaが建つ。
広場の中央には一般に開放された広い庭園があり,チェーザレ・ソッキの有名なダンテの記念碑が立っている。
オーストリア支配の下,イタリアたることの証拠そして象徴として,この町が望んで建てた記念碑である。
広場の西,中長距離バスターミナルの近くに,ゴシック様式の要素を持つロマネスワ様式のサン・ロレンツォ教会S.Lorenzoがある。
起源は12世紀,かってはベネディクト会修道院の付属教会であった。
1943年の爆撃で半壊し,1955年に教会が再建された。
サンタポリナーレ教会 S.Apollinare:
アディジェ川の対岸にある14世紀のロマネスク・ゴシック様式の教会。
ヴェローナ産の赤い斑岩製の扉□とパラ慈,するどく尖つた独特な屋根,多角形の後陣を持つ。
-アルベレ館 Palazzo delle Albere:
堀をめぐらし,四隅に塔を配した郊外型別荘。
1535年頃,司教伯クリストフォロ・マドルッツオが建てさせたもの。
フレスコ画の連作で飾られているが,今日ではその痕跡しか見えない。
トレント・ロヴェレート近現代美術館Museo d'Arte Moderna e Contemporanea di Trento e Roveretoのトレント地方のセクションが入っている。
月曜休館。


周辺の見どころ(ブレンタ山塊)
トレントの北西部一帯の荒涼とした石灰岩の山塊には、湖が点在する眠る深い谷と、浸食作用によってぎざぎざになった険しい岩山が風景がある。
トフリーノ湖 Lago di Toblino:
岩壁をバックにして、水生植物の茂る中に突然姿を見せる魅力的な湖。
半島には、トレントの司教大公の居館であった小城が建っている。
レンデナ渓谷 VaIle Rendena:
樅と唐松の生い茂る広い渓谷。
点在する村々の眺めも美しい。
村の教会はどれも、フレスコ画でおおわれ、張り出した屋根で守られている。
ピンツオロの近くにあるサン・ウイジリオ教会には、S・バッシ工ニス作の見事な「死の舞踏」(1539年)がある。
ジェノヴァ渓谷 Val di Genova:
アダメルロ山の花崗岩が削られて出来たこの谷は、壮大な深山幽谷として有名である。
岩の間を泡立ちつつ流れる急流沿いには、通が走り、高さ100mの断崖から落ちるナルデイスの滝に通じている。
マドンナ・デイ・カンビリオMadonna di Campiglio:
快適な避暑地・避寒地で、ホテルの良さと周辺に見どころが多いことで有名。
カンポ・カルロ・マーニヨ Campo Callo Magno:
シャルルマーニユ(カルロ・マーニヨ)がここを通ったらしいことから、今日ウインタースポーツの地となっているこの樹木の豊かな場所に、この名がつけられた。
グロステ山(ロープウェイで行く。降りてから徒歩)の峠(バッソ)では、プレンタ山塊の全体像を見渡せるパノラマが楽しめる。
トヴェル湖 Lago di Tovel:
荒涼とした峡谷に守られ、森におおわれた斜面にぽつんとあるこの湖は、時折、大暑の際に、ごく小さい藻の存在によって赤い色合いを帯びることがある。
アンダロ Andalo:
プレンタ山塊の山々が見下ろす広大な針葉樹林の真ん中、雄大な風景の中のこぢんまりした保養魁標高2125mのパガネルラ山Monte Paganella(ロープウェイで行く)からはすばらしいパノラマが開け、この地方全土が、また、よく晴れた日にはガルタ湖までも見渡せる。
モルヴェーノ Molveno:
圏内の奥にある湖の端、なだらかな斜面の牧草地の真ん中にあり、人気のある滞在地となっている。