(フリウリ・ヴェネチア・ジューリア特別自治州州都)
人口:約230,000人
●イタリア北東端、スロベニアと国境を接する港町。
●地理的に多くの民族の侵攻に遭い、時代とともに歴史的に大きな変遷をしてきた。
まさに欧州の近代史の最前線となっていたところで、EUが誕生するまでめまぐるしい変化を遂げてきている。
●中世の長い期間オーストリアの支配下にあったため、町にはオーストリアの雰囲気を漂わせる建物が多く残っている。
「小ウイーン」などといわれることもある。
●オーストリア帝国の支配する中欧、とりわけ中心となるウイーンから最も近い貿易港として長期間にわたって繁栄してきた。
●現在もアドリア海沿いで最大の貿易港として港湾施設はどんどん拡張されている。
石油のパイプラインで、オーストリアとドイツ南部のの精油所とも結ばれている。
大型船舶の造船所もある。
●アドリア海を航行する船舶の船舶の発着地として、日々多くの定期船が往来している。
●貿易港や工業の目覚ましい発展をしている町ではあるが、歴史的に変遷の多い地としては観光的資源は少ない。この町で、ぜひとも見ておかなければというようなものはない。
●台地が海に迫っている地形で、港を向いて横に広がっている町は見て歩きに時間がかかる。他の町のように、旧市街地に見どころが集中していて歩いてみて回れるところではないので、地域を絞って見学する計画を立てたほうがいい。


アクセス
空路
国際線は欧州内とイスタンブール、ベオグラード、モスクワなど。
クロアチアやスロベニアなどアドリア海沿岸のリゾート地へのゲートウエイとなっている。
国内線は、ローマ、ミラノ、ナポリ、ジェノヴァからの直行便がある。

空港
フリウリ=ヴェネツィア・ジュリア国際空港 Friuli Venezia Giulia Airport(コード:TRS)
所在地の地名からロンキ・デイ・レジョナーリ空港Aeroporto di Ronchi dei Legionariとも呼ばれている。
市内の西北約30km
空港バスがバスターミナルまで50分、l時間間隔

鉄道
ヴェネチア・サンタルチア駅Venezia Santa Luciaからトリエステ中央駅Trieste centraleまで2時間5分。ほぼ1時間間隔。
ローマからは2便ある。7時間45分。
東欧方面行きは、スロベニア・リエブリヤーナ、ハンガリー・ブダペストへの直通便が1日1本ある。
スロベニア、クロアチアへは鉄道より、長距離バスの方が便利だ。

長距離バス
スロベニア・リュブリアーナLjubljana:2時間45分、月〜土1日1便
クロアチア・ザグレブZagreb:5時間、月〜土1日1便、ドゥブロヴニクDubrovnik
:15時間、1日l便。
いずれの便も途中の町に停車しながら最終目的地までは知るので、あどりあ海沿岸の途への利用もできる。所要時間などをしっかり確認しておくことと、運転手に自分が下車する町を伝えておくことを忘れないこと。
国内:ウーディネUdine、ゴリツイアGorizia、ドゥイーノDuinoなど。
-バスターミナル:Via Fabio Severo 24
リベルタ広場Piazza della Liberta近く

フェリー
スロベニア、クロアチアの沿岸の諸都市まで毎日就航している。
5月中旬〜9月にだけ就航する高速艇もある。
毎年、運行状況が変わるので、チケット購入は現地の旅行代理店で問い合わせるといい。
のりばがそれぞれ別になっているので、ホテルからタクシーで行く場合には、ドライバーに船会社名やのりばを正確に告げておく必要がある。
主な船会社:
-トリエステラインズ Trieste lines
スロベニア(ピラン)、クロアチア(ロヴィニ、ポレチュ)へ運航する。
-アドリアテイカAdriatica
高速艇(5月中旬〜9月)
スロヴェニア、クロアチアのイストリア半島のアドリア海沿岸都市。
-ウステイカ・ラインズUsticalines
クロアチアのポーラPolaへ2時間。火〜土1日1便運航
-アネック・ラインズAnek Lines
ギリシアのコルフCorfu、イグメニッツアIgoumenitsa、バトラスPatrasとの間を運航(週2便)
-AGEMAR
アルバニア(ドゥラッツオ)行きを運航。



見どころ
観光ポイントが広域に広がっている。
短時間に多くを見てみたい場合には、まず定期観光バスで一巡してみるといい。


サン・ジュストの丘Capitoline San Giusto
古代ローマからの中心地であったところ。
丘の上には古代ローマのバジリカ教会堂の廃墟遺跡や中世の教会などが集まる。
サン・ジュスト教会堂 Basitica di San Giusto:
ゴシック様式の美しいバラ窓装飾の付いたファサードと、サン・ジュストの彫像で飾られ下部にローマ時代の円柱を組込む低い堅牢な鐘楼が特徴。
内部では13世紀の美しいモザイクと、聖ジュストの生涯を表した11世紀のフレスコ画がモザイクが必見である。
サン・ジュスト城塞 Castello di San Giusto:
カステッロ市立博物館Civico Museo del Castelloが中にあり、調度品や、古代武器の注目すべきコレクションが所蔵されている。
赤い像の描かれたギリシアの壷とローマ・アルカイック様式のうっとりするような小さなブロンズ像なども集められている。
ローマ劇場 Teatro Romano:
サン・ジュストの丘の麓にある、2世紀の初めに建てられた劇場の廃墟。
サンタ・マリア・マッジョーレ教会 S.Maria Maggiore:
市庁舎の裏手.サン・ジュストの丘の斜面に1627−82年に建立された。
サン・シルヴェストロ小聖堂S.Silvestro
サンタ・マリア・マッジョーレ教会の右隣の低い位置に建っている。
起源は11世紀に遡り,1920年代にロマネスク様式の建立当時の外観に復元された。
とても素朴なファサードにゴシック様式の美しいバラ窓がある。
リッカルドのアーチarco diRiccardo(ローマ門):
サンタ・マリア・マッジョーレ教会の裏手の古い家々にはさまれて道幅の広くなった場所にある。
ローマ時代の城門の−つで,前33年にオフタワイアヌスによって築かれた。


イタリア統一広場周辺 Piazza Unita d'Italia
イタリア統一広場 Piazza Unita d'Italia:
海に面していて、トリエステで一番大きい中心的存在の広場。
1900年代様式の3つの建物、政庁舎、市庁舎、旧ロイド・トリエスティーノ宮殿が建っている。
「ピーリpili」と呼ばれる旗手の2つの記念碑(1933年)がサン・ジュスト停泊区寄りの広場の縁に立つ。
市庁舎の手前,右には自由港を創設したカール6世の像を配したバロック様式の記念柱と「四大陸の泉Fontana dei Quattro Continenti」がある。
広場のすぐ前のアウダーチェ桟橋から町を見渡す景色はすばらしい。
市庁舎Palazzo Comunale:
1875年の折衷様式のファサード。
-ロイド・トリエスティーノ宮殿:Palazzo del Lloyd Triestino:
ロイド・トリエスティーノはイタリアを代表する海運会社だったが、台湾エヴァーグリーンEvergreenに買収されていて会社は現在は存在しない。


テレジア地区
サン・ジュストの丘から北寄りの方向、中央駅とイタリア統一広場の間に位置になる。
オーストリア帝国の統治時代、マリア・テレジアの命で拡張した地区。
碁盤の目のように整備されており、19世紀のビジネスと経済,そして国際交通の中心地であった。
多くの運河が走っていたが、現在は大運河CanalGrandeだけが残っている。この地区には様々の宗教の教会がある。

●大運河 Canal Grande:
1750〜56年に建設された運河。
新開地テレジア地区の商人たちの倉庫へ直接荷揚げをすることができた。
運河沿いには当時の建物が残されている。
-カルチョッティ館Palazzo Carciotti(1802一05年):
運河の始点となったところにある。6本の円柱がある。
-旧オテル・ド・ラ・ウイル(市庁舎)Hoteldela Ville(1839年)
現在は銀行になっている.
-エデス館 Palazzo Aedes
-サンタントニオ・ヌオーヴオ教会S.Antonio Nuovo:

ボルサ広場 Piazza della Borsa:
三角形の広々とした空間。
広場の中央にハブスフルク家の皇帝レオボルド1世(1673年)のブロンズ像を掲げた円柱colonnaが立つ。
-テルジエステオTergesteo:
19世紀の商取引を行う場所であった。
-旧証券取引所Palazzo della Borsa Vecchia
4本の円柱が支える。
現在は商業会議所になっている。
-バルトリ邸Casa Bartoli
-ロマーノ館Palazzo


ヴェルディ市民劇場Teatro Comunale G.Verdi:
テルジェステオの裏手にある,
劇場と同名の広場に面して建つ新古典主義様式の建物(1801年)。
劇場資料館Museo Teatraleもある。

サン・ニコロ・ディ・グレチ聖堂 S.Nicolo dei Greci:
正面に2本の鐘楼(1819〜21年)をもつ
ギリシャ東方正教会の聖堂として1784〜87年に建立された。
海沿いの二ッコロ・トンマゼオ広場Piazza Niccolo Tommaseoの左手に建つ

サント・スビリディオーネ教会Chiesa di Santo Spiridione:
サント・スビリディオーネ通りにある
1868年に完成したセルビア正教会の教会堂で、5つの丸いクーポラがあり、内部には金色に輝くモザイクがある。


オベルダン広場Piazza Oberdan
中央駅前のりベルタ広場から近いところにある。
1882年,グリエルモ・オベルダンGuglielmo Oberdanがオーストリア軍により絞首刑に処せられた場所。
広場に面して、郊外のケーブルカー、トラム・ディ・オピチーナTram di Opicinaのターミナルがある。
カールソの丘まで行く路面電車で、途中からケーブルカーに連結されて急斜面を登るようになっている。


港地区
ヴィットリア灯台Faro de11a Vittoria:
リヴィエラ・ディ・バルコーラRiviera di Barcolaと呼ばれるにぎやかな海岸線の先。
勝利の女神像を頭上にいただく、輝くばかりに白い灯台。
レヴォルテッラ博物館Museo Revoltella:
●自然史博物館 Museo di Storia Naturale:
●サルトリオ博物館 Museo Sartorio:
●海洋博物館Museo del Mare:
●鉄道博物館Museo Ferroviario:



周辺の見どころ
サン・サツバ精米所Risiera di S.Ssabba:
ドイツ・ナチス支配下に最初は政治犯収容所送りの取り調べ所として,後に強制収容所として利用されたところ。
現在は資料や多数の写真を収めたレジスタンス資料館Museo della Resistenzaとなっている。
-ミラマーレ城 Castello Miramare:
海岸の湾岸道路の岬の北端、トリエステの北西8km。ハプスブルグ帝国の唯一の海辺の別荘であった。
白亜の美しい城は最後の皇帝フランツ・ヨーゼフの弟マッシミリアーノタのために1860年に建てられた。
大公がこの城に暮らしたのは1864年まで,その年に彼はメキシコの皇位に就いたが、1867年、そこで処刑されてしまう。妻のシヤルロッテはそのために気が狂ってしまったという悲劇の城となり、以来この城に居住すると不幸な結末を迎えるという噂が流れた。

モンテ・グリーザ聖堂 Santuario del Monto Grisa:
北に5kmの丘の上。
第2次世界大戦後に分かれてしまった東ヨーロッパと西ヨーロッパの融和を願って聖母に奉献された現代の聖堂。テラスからのトリエステ湾のパノラマがすばらしい。
ヴィラ・オピチーナ Villa Opicina :
北に9km。
オーベルタン広場PlaZZa Oberdanからケーブルカーでも行ける。
標高348m、カルストの台地の縁にある。
オベリスクが目印となっている展望台からは、トリエステの町と湾に向かってすばらしい眺望が広く開ける。
トリエステ=リユプリアーナLubiana間の道路開通を記念して1830年に建てられたオベリスクが近くにある。
グロツタ・ジガンテ(Grotta Gigante):
北に13km。
陥没と浸食作用でできた水の溜まつた自然の洞窟。
トリエステ周辺のカルスト台地には数え切れないほどの鍾乳洞があるが、ここは一般に公開されている唯一の鍾乳洞である。
楕円形(130mX65m)の天井の高さは115mある。