咲き乱れるアーモンドの逸話
アラデ川を遡ったシルヴェスは,ポルティマンの北東17km。
イスラム・アラブ時代の首都として,かつては人口3万人を数え栄えた町。
レコンキスタの戦いと,大地震による町の崩壊で,今は赤い石を積んだアルカサバ(城塞)に,繁栄の面影をとどめるだけとなっている。
シェルヴェスのレコンキスタは1242年に達成され,激しい戦いに,ムーア軍の流した血は赤ワインのようだったとか。
アルカサバに隣接するモスク跡に建てられた,13世紀ゴシックのカテドラルの床は,レコンキスタの十字軍兵士の墓所となっている。
北欧の美しい姫を妃に迎えた,ムーアの貴公子が,雪のないアルガルヴュでホームシックにかかった妃のため,城の周りにアーモンドの樹を植え,臭っ白に咲かせた花で妃の笑みを取り戻した。
この逸話は,シェルヴェスがムーアの町セルブだった頃の話である。アルカサバの周囲には,今も春にはアーモンドの花が咲き乱れる。