エチミアツィン Ejmiatsin

人口約63,000人

概要

首都エレバンの西20kmに位置するアルメニア第4の都市、
アルメニア中西部、アルマヴィル・マルツ地方のアララト山とアラガツ山に挟まれたアララト平野に位置する、アルメニア正教会発祥の地で、その総本山となるエチミアジン大聖堂がある。
エチミアジンの大聖堂と教会群ならびにズヴァルトノツの考古遺跡は、この地方の聖堂建築に大きな影響を与えたとされ、2000年に世界文化遺産に登録された。

見どころ

エチミアジン大聖堂

アルメニアの世界最古の教会で、街の歴史の中心地でもある。
伝説によればアルメニアにキリスト教をもたらした聖グリゴルは夢にイェス・キリストが現れて、ここに教会を建てるよう命令じた。そして301年から303年にかけて、アルメニア人が世界で初めてキリスト教を国教として認めたときに建設が始まった。その後、教会は何回も建て直された。
この聖堂の建築を機に、アルメニア高地に次々と宗教建築が建てられるようになった。ここにはカトリックの法王庁に相当する大司教座が置かれ、神学校なども併設されている。

ズヴァルトノツ古代遺跡 Ruins of Zvartnots

エチミアジンの近郊にある教会の跡で、エチミアジン大聖堂と共に世界文化遺産に登録されている古代遺跡。
7世紀、カトリコス・ネルセス3世の命により、ここに聖グリゴル・ルサヴォリチ大聖堂が建造された。当時は高さ49mもある3階建ての荘厳な大聖堂だったが、10世紀の大地震により建物は倒壊し、円柱が立ち並ぶだけとなり、20世紀初頭まで埋もれたままになっていた。そのため、現在ではその原型を見ることはほとんどできないが、円柱が丸い形に配置されている。遺跡内には、カトリコス宮殿やワイナリーの跡も残されている。屋内の3つの通路にはギリシャ十字の、外側の壁には32角形(ほぼ円)の文様のフレスコ画が描かれていた。

聖フリプシメ教会 Saint Hripsime Church(世界遺産)

首都エレヴァンからエチミアジンに向かう途中にある。
618年に建造された、アルメニア初期の代表的な教会建築。当時のまま残るなかではアルメニア最古の教会のひとつと見なされているほか、随所にアルメニア建築の影響を受けており、古代アルメニア建築の典型と言われている。
「フリプシメ」というのは実在した女性の名前。アルメニアがキリスト教を国教としたきっかけとなった女性で、女はローマ帝国ディオクレティアヌス皇帝から求愛されますが、皇帝がキリスト教徒でないことを嫌って、拒んで、アルメニアに逃れた。
ところが今度は、アルメニア王トゥルダト3世が求愛する。
しかし、彼女はキリスト教徒でない王の求愛をやはり拒絶した。
王はこれを恨み、彼女の惨殺を命じ、キリスト教徒の迫害を始めた。
ここには聖フリプシメが祀られている。
聖フリプシメの惨殺を命じたアルメニア国王はその報いで重い病にかかり、先にキリスト教に改宗していた妹の忠告を聞き入れ、長年牢につないでいたキリスト教布教者グレゴリウスを解放。すると王の病気が治った。王はこれをきっかけにキリスト教に改宗し、さらに、キリスト教を国教として受け入れ、建設したこの教会の地下墓地に聖フリプシメの亡骸を葬ったと伝えられている。

聖ガヤネ教会 Saint Gayane Church(世界遺産)

均整のとれたプロポーションで知られる。
聖ガヤネ教会は女性説教者の先導者であるガヤネが殺された場所に630年に建てられた。
ここには4世紀初頭に殉教した聖ガヤネが祀られている。
17世紀になって改修されたが、建造当初の姿が残されている。

ショガカト教会 Shoghakat Church(世界遺産)

6世紀から7世紀頃に建造された聖堂の遺構の上に造られた17世紀末の教会で、建物には赤味を帯びた石灰岩が用いられている。

郊 外

ホルヴィラップ修道院

エレヴァンから車で40分、アララト山に最も近い場所にある修道院である。
こちらは世界遺産ではない。
元々は監獄だった。アルメニアの歴史に度々出てくるキリスト教の国教化を成した聖グレゴリウスも、ここの監獄に囚われていた。
キリスト教がアルメニアの国教となった後、4世紀に教会が作られた。7世紀のアラブの本では「白い石の教会」と書かれているという。その後、要塞として利用されたため、古いものは残っておらず、現在の教会は13世紀に建てられたもの。