概要 どこまでも大平原が続くスウェーデン最南部のスコーネ地方は、スウェーデンが中世の時代よりデンマークとの間で領土を争ったところ。 小人になった少年ニルスが、ガチョウの背に乗ってスウェーデン各地を旅する冒険小説『ニルスの不思議な旅』でのニルスの旅はスコーネから始まり、スコーネで終わっている。 スウェーデン国旗とは別にスコーネ旗を持ち、スウェーデン語の方言のひとつであるスコーネ語が話されるなど、ここにはスコーネ独自の言語や文化が存在する。 デンマークとの激しい領土争いにおいては戦いの拠点となる質実剛健な城が、争いがおさまってからは,豊かな穀倉地帯を治める王家、貴族、領主たちの権威の象徴としての優美な城が造られるようになり、これら200以上もの古城がのどかな田園風景の中に残されているのも特徴。 その多くは廃墟となったが、中にはレストランや博物館として公開されている城、個人の所有となった城など一部見学できるものもある。 城というより大きな洋館のような趣で、総じて幹線道路を外れた静かな場所に建っているため車で地図をしっかり見ながら行かないと辿り着けない。Qkbt ↑ ソフィエロー城 Sofiero † しゃくなげが美しい。 グスタフ・アドルフ王結婚のお祝いに、祖父オスカー2世が贈ったという城。 王家の夏の離宮として使われていた。アドルフ王が逝去した後、1973年より一般公開されており、内部を見学することができる。よく手入れされた庭園がすばらしい。kbt スヌーゲホルム城 Snogeholm 建物は15世紀の建造で、19世紀になってフレンチ・バロック様式に建て替えたもの。 ^ 現在はホテルとして利用されているお城で、ことに狩猟客には最適。 ホテル内にあるレストランでは、宿泊客が仕留めた獲物を使った料理なども並ぶ。 イスタ近くのスヌーゲホルム湖畔に位置している。kbt ボーショー修道院 Bosjokloster かつてのベネディクト派の修道院で、12世紀の建造。 建物を囲むように広がる公園とは現在は陸続きだが、当時は湖に浮かぶ小島であったという。 白い壁にレンガ色の屋根が美しい外観は、絵本の中から抜け出たお城のよう。 庭園にある樫の木は樹齢1000年を超える見事なもの。 約120ヘクタールの広い敷地内ではピクニックが楽しめる。kbt トゥールプ城 Torup ブナの森の中に佇む、お堀に囲まれた美しい古城。 昔の狩猟小屋を改造したカフェテリアがある。 1545年の建造で、ツタの絡まるふるめかしい雰囲気が魅力。中庭もすばらしい。 内部の見学は要事前予約。最近ではハイキングがてら訪れる人も多い。kbt ウーヴェッズ修道院 Ovedskloster 庭の芝生が美しい、宗教改革以前はベネディクト派の修道院として使われていた。 18世紀に建造されたロココ様式の建物で、薄紅色が美しい優美な外観がスコーネの豊かな自然と田園風景によくマッチしている。 現在、建物は個人所有の邸となっている。Qkbt グリミンゲフス城 Glimmingehus 城といっても王家の華やかな暮らしを伝える城ではなく、戦争の拠点として使われていた質素なもの。 1499年にドイツ人建築家アダム・フォンデューレルにより造られた。 厚さ2,5mの石の分厚い壁に小さな窓、何の装飾もない代わりに戦のためのさまざまな仕掛けが施されているのが特徴。 敷地内には絞首台まである。かつてのクローネ札にも登場した城で、現在は夏にコンサートなども行われる。Qkbt スヴァーネホルム城 Svaneholm スウェーデンの女流作家、セルマ・ラーゲルレーヴが生んだ児童向け冒険小説の傑作『ニルスの不思議な旅』にも「白鳥の城」として登場する城は1530年に建造されたもので、ルネッサンス様式。 スコーネ地方でもとりわけ美しい城のひとつ。デンマークとスウェーデンの間で争奪戦が繰り広げられた。 現在は博物館とレストランして公開されている。kbt クラーゲホルム城 Krageholm 中世から続くクラーゲホルムの荘園主の豪邸だった館。 城内には1723年建立の教会があり、純白の美しい内装が領主の財力を物語っている。 城は13世紀頃の建造と推定されるもので、1704年には個人が購入して以降代々受け継がれ、現在も個人の私邸となっている。kbt ベッカスコッグス・ロイヤル・キャッスル Ovedskloster 修道院として建てられたものだが、17世紀にカール11世が所有し、名前に「ロイヤル」が付くようになった。 王家の別荘として使われていた時期もある。 隣のユーリホルム公園内には、プロポーズしては失恋していたベッカスコッグスの住人であるヨハンが、ふられるたびに植えていた木々が残されている。kbt シェールナン Karnan 14〜15世紀にかけ造られた、スコーネでも最も古い建物のひとつ。 城の部分は17世紀にカール11世に破壊され、現在残されているのは塔と城壁の一部のみ。 高台に建つ大規模な城で、軍事用目的に造られたもの。上りきったてっぺんから見下ろす眺めはすばらしい。kbt マルメヒュース Malmohus 16世紀にはデンマーク王、クリスチャン3世が住んでいた。 城が建造された材料は、ルンドやマルメの教会を壊して集められたものといわれる。 後に、スウェーデン国の所有となり、監獄として使われていたこともある。 修復された現在は、博物館として公開されている。kbt スヴェンストールプ Svenstorp 1676年の「ルンドの戦い」の前日、デンマーク王クリスチャン5世が宿泊したとされる城。 その翌日には戦いに勝ったスウェーデン王カール11世がこの城で勝利を祝ったと伝えられる。 現在は個人の邸宅となっているが、城内の公園は一般に公開されている。kbt マーシュヴィンスホルム Marsvinsholm 広大な庭と2つの尖塔が特徴。敷地内には教会もある。 19世紀の貴重な蔵書などが展示されており、夏の期間のみ公開されている。 1805年、ここでグスタフ・アドルフ4世がナポレオンに対して宣戦布告をしたことで有名。 城の名はデンマーク語で「速い魚の城」の意味。また「シュガー・ミル王の城」というニックネームも付けられていた。kbt (参考資料:スカンジナビア観光局) |