概要
ウルフアの南約44km、月の神シン崇拝の中心だった村で、旧約聖書に登場する
ハランは、BC3世紀以来の文化を維持していて、蜂の巣と呼ばれる丸い土の家が数多く残っており、内部を見られる家もある。
旧約聖書の創世記によると、イブラヒムは、ユーフラテス川下流にあるカルデイアのウル(現在のイラク)で生まれた。
「テラにはイブラム(イブラヒムの改名前の名)、ナホル、ハランが生まれた。ハランにはロトが生まれた。ハランは父のテラより先に故郷カルデイアのウルで死んだ」(創世記11章)「神の召命を受け、ユダヤ人の先祖で遊牧民のセム族の族長イブラヒムは、父テラとともにカナンを目指し途中のハランに寄留した。そしてテラはここで死んだ」(創世記11章、12章)
こうしてハランは地上で最初の人類の定住地となったとされる。BC800年頃から、ハランと隣のソーマタルは宇宙神崇拝の中心であったが、月の神シンの神殿は382年にビザンティン皇帝テオドシウスが破壊し、城塞を築いた。メソポタミアから西、そして北西に延びる道の十字路にあたり、町の名にはトラベル、あるいはキャラバンの意味がある。
イスラムの隆盛を迎え、ウマイア朝最後のカリフ、マルワンUの治世下の首都として栄えるが、1260年モンゴルによって破壊された。
遺跡は石の荒野に残り、ミナレット兼天文台であった四角の塔が聳え、アーチの跡が残されている。gto