フレンスブルク Flensburg

シユレスヴィヒ・ホルシュタイン州
人口:約8,500人

概要

キールの北西約70キロ、北東にデンマーク領のオーデンセまで90キロに位置する国境の町。
バルト海の入江に開け、ドイツとデンマークとの海上交通と商業の町として栄えた。

フレンズブルグはラム酒で栄えた町といってもいい。
それは18世紀にカリブ人と、ラム酒の貿易をして繁栄したことから来ている。
大西洋を渡ってカリブの国々と交易していた貿易船の船乗りが、持ち帰りヨーロッパ中に広まったという。原酒はジャマイカ産が多く、いまだにフレンズブルグには代々ラム酒を作り続けている店がある。街の一角ではラム酒の香りが漂っている。
ラム酒その他のアルコール飲料の貿易が、今もなお重要な役割を果たしている。
フレンスブルクのラム酒交易を詳しく調べたければ、船舶博物館に行くといい。地下にはラム酒博物館がある。
デンマーク領だったフレンスブルクが、どのようにして1755年からデンマーク領西インド諸島(ザンクト・トーマスSt.Thomas、ザンクト・ヤンSt.Jan、ザンクト・クロアSt. Croix)へと、交易品を運び、引き換えに砂糖とラム酒を得ていたのかが理解できる。
工場の見学もできる(予約制)。
Johannsens Hokerein、www.johannsens-rum.de

第二次世界大戦末の1945年4月30日に、ロシア軍が東から進撃、英軍と米軍が西から包囲網を狭めてくる中、フレンスブルクはナチ政権崩壊前、最後の総司令部になっていた。
追い詰められたヒトラーは、その政権をカール・デーニッツ海軍元帥に委ねた。
4月30日にヒトラーがベルリンで自殺をはかった時、フレンズブルグはドイツで数少ない占領されていない地域のーつだった。
アドルフ・ヒトラーから後継大統領に指名されたカール・デーニッツ元帥だったが、総統を引き継いだ5月2日の6日後には、ドイツの降伏を宣言した。
ここで臨時政府を組織し、連合国との降伏交渉にあたり、同年5月23日の関係者逮捕による解散となる。

フレンスブルクはそんな変化に富んだ歴史があったことなどなかったように静かな街である。
ここは国境のすぐ近くのためデンマークへ行くちょうど良い中間地点になっていて日帰りのクルーズなども人気がある。

フレンスブルクへのアクセス

キール中央駅Kiel Hbfから普通列車で1時間20分、ほぼ1時間間隔。

ハンブルク中央駅から普通列車で2時間。ほぼ1時間間隔。

定期観光(クルーズ)

ノルトリシュ海上観光船Nordlische Seetouristik

グリュックスブルクGliicksburgへのクルージングがあり、シッフブリュッケSchiffbruckeから、5月から9月の間は多くて日に5回船を出しているが、冬場は回数が減る。
観光案内所で港を巡るショート・トリップの情報も提供している。

フレンスブルクの市街地

商人屋敷や倉庫建物 Kaufmannshofe und Speicherhauser

かっこの海上貿易(対ノルウェイ、バルト海沿岸諸国、東インド)時代のこの町の栄華のほどは、旧市街地再開発の一環として忠実に再現された、主に18世紀の建物群にうかがうことができる。
特にノルダー通りNorderstrasse 86番地の商業の館Handelshof、同じくノルダー通り22番地の芸術家の屋敷Kunstlerhof、グローセ通りGrosse Strasse 24番地(中庭)の西インド倉庫Westindienspeicherが見どころ。
そのままグローセ通りに沿って南へと行けば、17番でホルム通りになり、ボルガーフォレニングン・ホープBorgerforeningen Hofが見えてくる。
 一番美しい中庭は、絵のようなローテ通りRote Strasse (南へとホルムに沿って行き、ズユーダーマルクトSudermarktを抜ける)をそれたところにある。ここではヴァインハウス・ブラージュWeinhaus Braasch で、ラム酒を購入できる。
Rote Strasse 26-28
www.braaschrum.de

フレンスブルクの見どころ

市立博物館 Stadtisches Museum

シュレスウィヒ・ホルシュタイン地方(現デンマーク領の北部シュレースヴィヒも含む)の、芸術・文化史上価値の高い品の数々を揃えている。
ゴシックおよびルネサンス時代の家具や屋内調度品のコレクションでは、豪華に彫刻を施した花嫁の長持(ながもち)などが見もの。下の階にある昔の農民や市民の部屋の復元も楽しい。特に、エーミール・ノルデの作品を収める部屋は必見である。

船舶博物館 Schiffahrtsmuseum

「カピテーンス・ヴェークKapitans Weg (船長の道)」という無料の小冊子が置いてあり、ドイツ語で書かれた詳細版も購入できる。その小冊子に沿って行くと、船長がカリブ海へと向かう旅の準備をする経路がわかる。道端には案内板があり、街の商人の中庭も、いくつか訪れる。
Schiffbriicke 39

マリエン教会 Marienkirche

フレンスブルクの教会で一番姿が美しい。
グローセ通りがノルダー通りとぶつかったところにある。
ここには中世のフレスコ画や、現代のステンドグラスの窓もあるが、ハンス・リングリンク作の豪華な背の高い祭壇(1598年)が見どころだ。

ニコライ教会 Nikolaikirche

いつも活気に満ちた市場シューダーマルクトSudermarktを見下ろして建つ。
14世紀末の堅牢な煉瓦造りゴシック建築。教会内にはルネサンス様式のパイプオルガン(1609年)がある。

ノルダー門(北門) Nordertor

ノルダー通りの北端に位置する。
1595年建造の二つの段状破風を持つ簡素な煉瓦造りの門で、ここはシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州に残った数少ない城門の一つで、町のシンボルとなっている。

フレンスブルク周辺の見どころ

グリュックスブルク Glucksburg

フレンスブルク北東10kmほどのところにある、この小さな温泉町は、蹄鉄型のルネサンス様式の水の宮殿 Wasserschloss 堀をめぐらせた宮殿が有名で、大きな湖の中心に浮かんでいるように見える。
1587年建造のデンマーク王室ゆかりの宮殿。
 見どころは、豪華なバロック様式の宮殿の
1階にある礼拝堂と、カーブを描いて上の階へと続く2つの階段、そして一家のプライベートな居住空間である皇妃の広間Kaiserin Salonと、皇妃の寝室Kaiserin Schlafzimmerなどがある。白の間Weisser Saalにあるゴブラン織り(1740年)も一見の価値ありだ。
特に2階の大ホール「赤の広間Roter Saal」は、一見の価値あり。重くのしかかってくるような円天井は、星やバラの花や小さい胸像の飾り模様のついた繊細な格間で覆われている。金・銀のメッキや装飾的な押し模様を施した独特の革製壁布が目を引く(1703年ベルギーのメヘレン産)。
天気の良い日なら、バラ園 Rosengarten に行くのがおすすめ。 400種以上のバラが咲き誇っている。一番良い季節は6月の終わりである。
21番のバスが1時間ごとにグリュックスブルクとフレンスブルクの中央バス発着所を往復している。















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