モンテネグロ
モラチャ修道院、 †
- モンテネグロの南北を流れるスカダル湖に流入する最大の川,モラチヤ川(全長98km)をはさみこむのがモチャラ渓谷。
水量の多い激流が続く中に急に青々した静かな平地部分が現れる。修道院はその穏やか平地に建つ。
- 修道院の主聖堂の聖母被昇天教会は1252年、ネマニッチ王朝の始祖ネマーニヤの孫、ブカン王の子ステファンの建造となる。
- 建物はラシュカ派の建築伝統にしたがって建てられている。
単廊式で半円蓋を載せ、聖歌隊席を設け、東に半円のアブシス(後陣)、西にナルテックス(前堂)を配してある。
フレスコ画「鴉、預言者エリアを養う」は聖母被昇天教会のディアコニコン(輔祭室)の壁面装飾の一部で、13世紀の壁画がそのまま保存されている。
預言者エリアの生涯を描いた連作の壁画11面が残っている。
- 外部はロマネスク様式の伝統が尊重された。
17世紀に入り、著名な画工を招くことで、モラチヤ修道院は往時の栄華を取り戻す。
当時最高の画家といわれたブディムリヤの僧ストラヒニヤ、聖山アトスにあるヒランダル修道院の修道士ゲオルギェ・ミトロフアノピッチ、名工ヨハン、ラドウルらが仕事をした。
豪華なイコノスタス(聖障)のイコンも、これらの画家が描いている。
- 修道院の内庭には聖ニコラに献じられた教会建築らしくない簡素な聖ニコラ小教会や宿坊などが点在する。
(参考資料:Montenegro Guide by Studio Strugar)