ドイツ/ベルリン・ゲーテ街道・ドイツ東部
ドレスデン Dresden †
ザクセン州州都
人口約50万人
- ザクセン州の真ん中を流れるエルベElbe川の畔の平地にあって、ドイツで最も重要な観光地の一つに数えられている。
ドイツの大都市の中で最も東の端にあって、チェコ共和国とは30kmほどに位置にある。
陶磁器の町マイセンまで約25kmmと近い。
- 東部ドイツのザクセン州の。かつてのザクセン王国の首都でもあり、プロイセン、バイエルンと並んで、ドイツで宮廷文化が開花した伝統と歴史の街だ。
「北のフィレンツェ」としてヨーロッパ中にその名を鳴り響かせていた。
18世紀にはアウグスト国王が東洋の白磁に魅せられマイセン陶磁器振興を指揮したが、ドレスデンはその中心となっていたた。
- 第2次世界大戦終結の数ヶ月前、1945年2月13日夜から14日未明にかけて、連合軍により徹底的な猛爆を受け、町は徹底的に破壊され、文字通り灰塵に帰した。
3回にわたる波状攻撃で、死傷者は10万人を越えた。
町の75%までが破壊され一面焼け野原となり、重要な歴史的建造物の残骸が、黒い骸骨のように突き出ていた。
戦争の終結後、東ドイツになり、ソ連が管理する共感主義化にあって、復興も遅れ、長い間瓦礫のままの町となっていた。
かつてこの町が誇るゼンパーオペラ劇場などは真っ黒の瓦礫が高く積み上げられたままになっていた。
1991年にドイツが統一されてから、伝統あるドレスデンの街並みの再建が急ピッチで進み、歴史的な建造物の多くが蘇ることとなった。
ゼンパーオペラもその象徴的な歴史建造物の一つとして、往年の風格と華やかさが復活するにいたった。
鉄道網もドイツ鉄道に統一されて、旧東ドイツ内の線路も補強され、高速運転が可能になり、ベルリンやライプチッヒなど周辺の大都市との移動の大幅に改善された。
中央駅周辺も再開発され、現代ドイツの代表的都市になっている。
- 2002年夏に、エルベ川流域が大洪水に見舞われ、ドレスデンも大きな被害を受けた。
- ライプチッヒと並ぶ工業都市ドレスデンは、ドイツ統一後の復興の勢いに伴って、人口も膨れ上がり、交通量も増加に対応するためにエルベ川の橋の建設を計画する。
2004年、ドレスデンはエルベ流域の渓谷18kmとともに世界遺産に登録されたが、この橋の建設計画で、2006年に危機にさらされている世界遺産リストに登録されてしまった。
にもかかわらず建設が推進されたため、2009年世界遺産リストからの登録が抹消された。
アクセス †
- 空路:
13カ国49都市と結ばれている。
ヨーロッパの西側の国からは鉄道では時間がかかる距離にあるため、欧州各国との直行便が多い。
日本から直行する場合には、フランクフルトまたはミュンヘン乗継が便利だ。
フランクフルトやミュンヘンからの鉄道では時間がかかる。空路の乗継がおすすめ。
- 空港
ドレスデン国際空港Dresden International Airport(コード:DRS)
ドレスデン北部15kmのクローチェ地区Klotzscheにある。
都市の膨張により、往来も急増し、ターミナルの拡張が続いている。
http://www.flughafen-dresden.de
空港とドレスデン中央駅を鉄道Sバーン2番が結ぶ。 ドレスデン・ノイシュタット駅Dresden Neustadt経由(30分)
エアポート・シティ・ライナーAirport City Linerのバスが、ドレスデン・ノイシュタット駅Dresden Neustadt経由中央駅Hauptbahnhofまで出ており、
主要ホテルを含む市内の主な場所に停車する。滞在するホテルによっては便利だ。
- 鉄道
ドレスデンには2つの駅がある。
街の南側にある中央駅Hauptbahnhofと、川の北にあるより近代的なドレスデン・ノイシュタットDresden-Neustadt駅である。
どちらの駅にもほとんどの列車が停車し、トラムとSバーンの路線がこの2駅を10分で結んでいる。
ベルリン中央駅Berlin Hbf.からドレスデン中央駅Dresden Hbf.まで特急ICEで2時間10分(2時間間隔)
フランクフルト空港駅からはライプチッヒを経由して特急ICEで5時間。1時間間隔。
チェコ・プラハPraha Holesovice駅から国際特急ECで2時間10分(2時間間隔)
ライブツイヒLeipzig〜リーザRiesa〜ドレスデンDresdenは普通列車REで1時間40分。1時間間隔
フランクフルトから来る特急ICEを利用すると1時間10分。特急料金が要る。
マイセンMeissen〜ドレスデン間はSバーンで45分。30分間隔
交通機関 †
市内は路面電車とバス。1日パスがある。
見どころが旧市街地に集中しているので、旅行者は利用する機会が少ない。
ドレスデンのバス発着所は。地方バスは、鉄道のない近郊ザクセン州内へのバスは中央駅の隣にあるバスターミナルから発着する。
市街地 †
旧市街の観光ポイントを巡るのには、旧市街の中心部となるオペラ座近くの劇場広場から歩き始めるのがよい。
王宮博物館が入ったアルベルティーヌム Albertinum の裏手、エルベ河畔に張りだしている遊歩道、ブリュールのテラス Bruhlsche Terrasse の散策もおすすめ。
エルベ川右岸の新市街地区Neustadtにも足を延ばすといい。
アウクスト強健王の黄金の騎馬像が立つ新市街マルクト広場Neustadter Markt と、アルベルト広場Albertplatzとを結ぶ中央通りHauptstrasseは、戦争による破壊ののち、、ドイツの統一後、無傷に残った場所を中心に比較的早く復興計画の対象となり、18世紀の住宅建築も、かなりのものが保存されている。ケーニヒ通りKanigstrasseは中央通りの西側にほぼ並行に延びている通りで、ショッピング地区となっている。このあたりは歩行者専用道路が続く。
アルベルト広場Atbert Platzの北側には示唆に富む大理石製のシラー像
と、掘り抜き井戸を水源とする噴水がある。
見どころ †
- ツヴィンガー宮殿 Zwinger:
17世紀のザクセン王国の栄華を象徴する宮殿は、その美しい姿がドレスデン観光のハイライトとなっている。
中庭には夏の催し物会場としてフェスティバルホール、およびオランジェリー(植物用の大温室)が建てられた。
西のパビリオンの上には、ギリシャ神話のなかで「罰として地球を支えるよう運命づけられた」というアトラスAtlasが世界をその双肩に担っている。
アトラスの反対側のシティパビリオンにマイセン磁器の仕掛け時計があり、40の鐘でできたかわいらしいカリヨン(組鐘)が、毎時美しい音色を響かせる。
宮殿内には6つの博物館がある。
古典巨匠美術館アルテマイスター Gemaldegalerie Alte Meister では、ラファエロの名作『システィーナのマドンナ』をはじめ、フェルメールやレンブラントなど各時代を代表する古典絵画が一同に会する。
陶磁器博物館 Porzellansammlung では、ザクセン国王アウグストが財力をつぎ込んで収集した、白い黄金とよばれた非常に高価な中国や日本から輸入された当時の陶器を展示。マイセン陶磁器の歴史的な数々の名作が展示されている。
武器博物館 Rustkammer では、16-18世紀に使用された鎧、甲冑、剣などを展示。武器は戦う道具としてよりも、儀式に使用され装飾があちこちに施されている。
数学物理学博物館Mathematics and Physic Salonには古い楽器や地球儀、計時器などが展示されている。
その他、自然史博物館Naturhistorische Sammlungenと鉱物学地質学博物館Museum of Mineralogy and Geologyは、要塞の「王冠の門の下部分Unterm Kronentor」にある。
- ゼンパーオペラ Semperoper
18世紀前半、建築家ゼンパーによって建築されたヨーロッパ屈指のオペラ座。
リヒヤルト・シュトラウス、カール・マリア・フォン・ウェーバー、リヒヤルト・ワーグナーの作品の多くはここで初演されている。
大戦の破壊で久しく瓦礫が積み上げられていたが、ドイツ統一後、昔の宮廷文化の華やかさをイメージさせる豪華絢爛なオペラ座が復活した。
現在、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団Dresden State Orchestraがここを本拠地として
いる。
オペラに興味がない人も見ておきたい。
内部のガイドツアーで見学ができる。
、
- 旧カトリック宮廷教会Ehematige Katho1ische Hofkirche
19世紀の半ばに建てられたカトリックの教会。
オペラ座、ツヴィンガー宮殿のある劇場広場に面していて、ザクセン州の教会の中で、最大規模のバジリカ様式の教会堂。
- レジデンツ城 Residenzschloss
ドレスデンの中心に位置するレジデンツ城。
城内では美術工芸品の展示があり、展望塔にも上れる。注目は、スケールの大きな壁画『君主の行列』。これは中庭にあるヨーロッパ最古の武芸競技場、シュタールホーフ stallhof の外壁100mにおよぶマイセン磁器のタイルに描かれている。
この壁画は市街中心部にあるにもかかわらず、幸運にも戦中の爆撃を免れている。また、この城の100mほどの高さの時計塔はドレスデンで最も高い。まるで、アウグスト王が出した「この塔よりも高い建物を造ってはいけない」とのお触れが現在も守られているかのようだ。
城内には交通博物館Verkehrsmuseumもある。
- フラウエン教会Frauenkirche
ノイマルク広場にあるこの聖母教会は、1945年2月の破壊の証として久しく廃墟のまま保存されていたが、再建が進められている。
- プリュールのテラスBruhlsche Terrasse
エルベ河畔にそって続く遊歩道。右岸の新市街の眺望が楽しめる。
- アルベルティーヌム Albertinum:
かつての武器庫。1885年、新ルネサンス様式の美術館に改造された。
- 緑の円天井 Grunes Gewolbe:
ザクセンの領主たち、とりわけアウクスト強健王があちこちから集めた宝物の博物館。
世界最大41カラット相当の緑のダイヤモンドがある。
- ノイエ・マイスター絵画館 Gemaldegalerie Neue Meister:
19、20世紀のドイツをはじめ、ヨーロッパの現代絵画を展示。
旧東ドイツDDRの画家たちの作品にも、最後の何室かがあてられている。
- ドレスデン市歴史博物館 Stadtmuseum Dresden:
ロココの要素を交えた擬古典主義・後期バロック様式の、歴史的価値ある優美な別荘(1770〜1775年建築)内に収容されている。
市の誕生から1989年に至るまでの歴史をたどる博物館。
- 聖十字架教会 Kreuzkilche:
この場所には、かつて市で最古の教会(13世紀初頭)が建っていたが、七年戦争(1760年)で破壌され、その後バロック様式で再建された。
第2次大戦による破壊で、再建されてはいるものの、戦前のような豪華さはなくなっている。
ドレスデン聖十字架合唱団Kreuzchorを擁している。
- ザクセン民芸博物館 Museum fur Sachsische Volkskunst:
1568年のルネサンス様式の建物イェーガーホーフJagerhofの中に収蔵された伝統工芸品を幅広く大量に所蔵している。
- 日本館 Japanischs Palais:
1715年から1737年にかけてペッペルマンの監督のもとに建設された、四つの翼を持つ巨大な建物。
アウクスト強健王のマイセン磁器コレクションを収納するのを目的としていた。
それほど日本らしくはない東洋風の屋根が、施設全体にアジア的雰囲気を与えている。
現在は、世界各地の広い範囲から集めた優に7万を超える人類学の資料を誇る民族学博物館Ethnological Museumとなっている。
エルベ川側は気分のよい公園になっており、そこから左岸の見晴らしがよい。
- ドイツ衛生博物館 Deutsches Hygiene Museum:
リングナー広場Lingner Platz。
口腔衛生用うがい水「オドールOdol」の製造者であり、当時のザクセンーの富豪であった力一ル・アウグスト・リンクナーKarl August Lingnerの提起によって1912年に創設された。
健康と環境に対する関心がとりわけ高まっている現代、時局にかなった基本的テーマに関する情報をわかりやすい形で提供する。
http://www.dhmd.de
近郊の見どころ †
- ピルニッツ宮殿 Schloss Pilnitz
1765年から1918年までザクセン国王の夏の宮殿。
庭園の美しさは世界的に有名な、優美なバロック宮殿。
ドレスデンからエルベ川を10kmほど上がった河畔に浮かんでいる。
アウグスト王はドレスデンのレジデンス宮殿から特別にゴンドラを仕立ててこの夏の宮殿に通った。
そのために川から上陸する階段が造られた。
アクセスは、ドレスデンのザクセン汽船Sachsische Dampfschiffahrtの桟橋から1日6回、出ている船を利用するといい。(1時間45分)。
または、ヴィルスドゥルッファー通りWilsdruffer Strasseから14番のトラムか、ドレスデン中央駅前から東へトラム9番で終点まで行き、そこから河畔まで歩いて、エルベ川を小型フェリーで渡る。
- カール・マリア・フォン・ウェーバー博物館Carl Maria von Weber Museum
ドレスデンから南東に行ったピルニッツPilnitzにある。
作曲家であり指揮者でもあったウェーバーの夏の別荘で、彼は数年聞ここで暮らし、仕事をしたあと、39歳の時、1826年に英国で死去した。定期演奏会も行われている。
バス83番で、フアン・ゴッホ通りVan Gogh Strasseで下車。
- リヒヤルト・ワーグナー博物館
Richard Wagner Museum
ウェーバー博物館の先、静かな住宅地の中にある。
館内のガイドが大作曲家の波乱に富んだ一生を事細かに語ってくれる
バス83番。
- モーリッツブルク宮殿 Schloss Moritzburg:
ドレスデン北西14km。
1542〜1546年モーリッツ公が、ザクセンの王や選帝侯たちの狩猟区の中にルネサンス様式の簡単な狩猟の館を建てたのに始まる。
1723〜1736年、アウクスト強健王(1670〜1733)の要請を受けたマ テーウス・ダニエル・ぺツペルマンが、これを豪華なバロック宮殿に改造した。
ザクセン地方のバロックの色である黄土色と白の堂々たる角櫓を持つ四翼建築に、池のある庭園が接続している。
現在はバロック美術館Barockmuseumとなっている。
徒歩で30分にあるキジ飼育場小宮殿Fasanerteschtosschen(1769〜1782年)は、現在鳥類学博物館となっている。
http://www.schloss-moritzburg.de
- ラーデボイルRadebeul
著名な人の別当血があったところで、いくつかが博物館になっている。
- 力一ル・マイ博物館Karl May Museum
ドイツの冒険小説作家を記念した博物館。
5月にはカール・マイ祭Karl May Festが催される。
http://www.karl-may-museum.de
- ヴィラ・シャッターハンドVilla Shatterhand(シャッターハンドの邸宅)
武器、狩猟の記念品、アメリカや近東からの雑多な品々といった彼の個人コレクションが収められている。
- ヴィラ・ペーレンフエツトVilla Barenfett
ネイティブ・アメリカンに関する展示がある。
ドレスデンからは、近郊列車S1で、北のラーデポイル・オスト駅Radebeul-Ost下車。
または、トラム4番でシルデン通りSchildenstrasse下車。(20分)