グアダルーペ Guadalupe

グアダルーペフォト

概要

標高648m
人口約25000人
エストレマドゥラ地方・カセレス県
トルヒーヨの東73km。カセレス県の南東瑞,山脈に挟まれたのどかな村。

小さな村だが、ここはキリスト教スペインの聖域で,グアダルぺの聖母マリアは全スペインの守護聖人となっている。

村に伝わる奇跡の伝説では、1300年頃、当地でひとりの牛飼いが奇跡の聖母像を発見し、それが最初の聖堂の起源となったらしい。
アルフォンソ11世は、グアダルペの聖母に加護を祈願した直後にサラドSaladoでモーロ人を破った(1340年10月24日)ことを感謝して新しい壮大な修道院を築かせ、ヒエロニムス会修道士らにゆだねた。
ここからキリスト教スペインの聖域に指定されるようになった。
代々の王から潤沢な寄進を受け、民衆の崇敬の的となっていたので、16、17世紀には、この巡礼地の威光は大変なものであった。
また刺繍、金銀細工、写本装飾などで名高い工芸の中心地でもあった。
しかもコンキスタドーレス(16世紀に新大陸に遠征したスペイン人)の祖国の中心に位置していることから、グアダルペは、おのずと新旧両大陸のスペイン語使用者を結ぶ言語・文明共同体「イスパ二ダーHispanidad」(スペイン語圏)の象徴となった。
コロンブスはアンテイル諸島のひとつをグアダルペ(後のフランス領グアドループ)と名付けたし、最初に改宗したインディオたちが洗礼を受けたのも、自由の身になったばかりのキリスト教徒がわが身の鎖を解いたのも、ここグアダルペだった。
10月12日は「イスパ二ダー」の日と宣言されていて、毎年、盛大な行列がねり歩く。

修道院の内部にはスルバラン作の絵画が展示された聖器室があるほか,隣接してパラドール「スルバラン」が建つ。

見どころ

修道院 Monasterio

1835年以降うち棄てられていたが、1908年になって、ふたたびフランシスコ会修道士が入り、修復がすすめられた。
建築の中核部分はゴシック期(14世紀末~15世紀初頭)のものだが、16、17、18世紀に寄進を受けては次々に増築された部分がきわめて多い。全体にごたごたした印象だが、それと言うのも、修道士たちは、要塞化された囲いの内のごく限られた空間に、住居や付属建造物を詰め込まなければならなかったためである。修道院には、寺宝として貴重な芸術品が伝わっている。

ファサード Fachada

15世紀。修道院のゴシック様式ファサードは、美しい広場に面していて、銃眼つきの高い塔2茎の間にぴったりとはめこまれているように見える。
金色で、フランボウイヤン様式の装飾がふんだんに施され、外囲いの壁がごつごつして黒っぽいのとは対照的である。
ムデハル・ゴシック様式の特徴はモーロ文化の影響を受けていることだが、曲線的なフォルムを誇張しスタッコ装飾を模倣している点にそれが現れている。
2つの門のブロンズ打ち出しの扉は15世紀のもので、それぞれ、聖母とキリストの生涯の諸場面を描き出している。

教会 lglesia

14世紀、修道院建立当初からある教会だが、18世紀になって、ボールトをバロック風に金色に塗ったり、聖母のために灯される奉納灯を支えるのに、身廓を囲んで透かし彫の欄干をつけるなどの改造が行われた。
聖域は、16世紀初頭にバリヤドリーの2人の名匠金工師が制作した、きわめて手のこんだ格子に囲まれ、古典主義的な構成の大きなレターブルが飾られている。
ヒラルド・デ・メルロと、エル・グレコの子ホルヘ・マヌエル・テオトコプリ作の彫刻である(17世紀)。
このレターブルの中央にあるのがグアダルペの聖母 Virgen de Guadalupeで、カマリン(camarin小聖堂)に入れば、より近くで見ることができる。

参事会室 Sala Capitular

豪華な写本装飾をほどこした交唱聖歌集と時躊書 antifonarios y libros de Horas miniados 87巻のすばらしい集成が展示されている。
写本装飾は、14世紀から18世紀にかけてグアダルベの修道士たちが手がけたもの。
もっとも多いのは16世紀のもの。

ムデ八ル様式内庭回廊 Claustro mudejar

14、15世紀のもの。広さと2層の馬蹄形アーチで注目をひく。
中央にムデハル・ゴシック様式の小さな聖堂、一角に多色の陶製手水鉢がある。

刺繍展示室 Museo de Bordados

旧食堂内に設けられている。
豪華に飾られたコープ(聖職者が祭式で着るマント、上祭服)と祭壇前面の豊富なコレクションは、これらに縫い取りをほどこした、15世紀から19世紀にかけての修道士たちの腕前をしのばせる。

絵画彫刻展示室 Museo de Pintulas y Esculturas

展示品でここにあげておきたいものは、イーゼンプラントIsembrandtの三連祭壇画「東方3博士の礼拝」(16世紀)、ミケランジェロ作とされる象牙製キリスト像、ぺドロ・デ・メナ作「この人を見よEcceHomo」、修道士を描いたスルバランの小品絵画8点、ゴヤの小ぶりな絵画r獄中の告解Confesion en Prision」など。

聖具室 Saclistia

17世紀。次の間にカレー二ヨ・デ・ミランダの絵画がある。
ここは、建築は古典主義、装飾は凝りに凝ったバロック様式という華麗な部屋だが、調和がとれ、すぐれた色使いで、スルバランの名画cuadros de Zurbardnをたくみに引き立てている。力強く、また同時に穏やかな画風のこれら11点の絵画は、1638年と1639年の作で、ヒエロニムス会修道士の姿を描き、聖ヒエロニムスの生涯の諸場面をたどる。「聖ヒエロニムスの誘惑 La Tentacion」には、聖者が音楽を奏でる魅惑的な女たちを退けるさまが見られる。

聖遺物室 Relicario

グアダルペの聖母のさまざまなマントと、盛大な行列のときに使う冠がおさめられている。

「カマリン(小聖堂)」 Camalin

18世紀。カマリンとは、聖母の玉座の次の間をいう。
守護聖母の姿を拝しに来た巡礼は、この部屋から入る。この部屋には惜しみなく贅の限りが尽くされ、碧玉、金色スタッコ、大理石と銘木の寄木細=が、ルーカス・ホルダンLucas Jordanの9点の絵画を取り囲んでいる。七宝装飾の玉座(1953年)に鎮座するグアダルぺの聖母は、ほ世紀に彫られた黒っぽい楢材の小像で、その姿は、豪華な縫い取りのついたヴェールとマントにほとんど隠れている。

ゴシック様式内庭回廊 Claustro gotico

宿坊内。優美なフランポワイヤン・ゴシック様式で、16世紀に建造された。
ここはかつては大薬局として、修道院付属の4病院に医薬を供給していた。

















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