ムツヘタ Mtskheta

人口約7,600人。


概要

首都トビリシから北西に20kmの古都。
トルコから流れてくるクラ川とロシアから流れてくるアラグヴィ川の合流地点に発展した小さな町。
中東ペルシャと地中海ヨーロッパを結ぶ東西交通路にあり、しかも、ロシアとの交易路も通ることから、交易の要衝の地として栄えてきた。

ジョージアのキリスト教化が始まった聖地でもあり、教会が多く建つ。しばらくの間ジョージア正教(グルジア正教)の総主教座があったことでも知られる。

町を見下ろす山上に位置するジュヴァリ修道院(6世紀)と、町の中心に位置するスヴェティツホヴェリ教会(11世紀)が有名。
スヴェティツホヴェリ教会には、337年にキリスト教を国教化した王ミリアンとその妻ナナの墓がある。

ムツヘタは歴史的建造物を中心に町全体がユネスコの世界遺産(1994年)に登録されている。
保全計画の不備から、2009年以来危機にさらされていたため、危機遺産リストに登録されていたが、2016年に危機遺産リストからの除去が決定された。
付近には、アルマジ砦(紀元前3世紀)など、多くの遺跡が分布している。

アクセス

トビリシからは地下鉄ディドゥベ駅のターミナルから直通バスが頻発している。

見どころ

スヴェティ・ツホヴェリ大聖堂 Sveti Tskhoveli Church,

聖堂。ジョージア正教の総主教座が置かれるジョージア最古と伝えられる聖堂。
建物は最初は木造の寺院で、11世紀ごろに石造で再建されたもの。中央のドームの高さは40m。
伝説では、ユダヤ人の男がイエス・キリストが磔(はりつけ)になったときの上着の一部を、ジョージアに持ち帰り、姉に渡したところ、姉は喜びの余り、上着をつかんだまま亡くなってしまった。そのまま姉とともに埋葬したという。
墓所からそこから杉の木が生え、育った木から流れた樹液が人々の病を癒すようになった。そこで「命を与える柱」という意味で教会の名前が名付けられた。
キリスト教を国教化した王ミリアンなど、歴代のジョージア王がこの教会に葬られている。
内部の写真撮影は禁止。

ジュワリ寺院 Jvari

ジュワリはジョージア語で十字架の意味。
ムツヘタの町を見下ろす丘の上に立つ。6世紀の建築。
伝説では、ニノという名の修道女がトルコ・カッパドキアから布教に訪れ、自分の髪とブドウで編んだ十字架を山の上の異教徒の神殿に立てたのが、この寺院の始まりと言われている。
ニノが訪れた当時、ジョージアでは偶像崇拝が行われていたが、ニノはイベリア王ミリアンと民衆をキリスト教に改宗させることができた。王が狩りに出た際、日食が起こり、ニノが祈りによって奇跡を起こし、王を改宗させたという。

聖女ニノが十字架を立てた場所に6世紀に小さな教会が建てられ、以後、増築されて現在の姿になっている。教会は「ジュワリ」「十字架」という名前のとおり、上から見ると十字架の形をしている。

トビリシ~ムツヘタの分岐点から2キロほどの距離。
トビリシからタクシーのチャーターが便利。晴れた日は遠くガズベキの山脈も望むことができる。